みなさん、こんにちは!科学コミュニケーターの高知尾です。

突然ですが、下の写真は何だと思いますか?

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この写真は、私が一週間の間に使用したビニール袋や食品トレイ、包装フィルムなどのいわゆるプラスチック包装容器を1Lの瓶に詰めたものです。

どうしていきなりこんな写真を載せたかというと、今から一週間前に遡ります。
私はノープラ、つまりプラスチックをなるべく使わない生活を実行することを決意したのです。そして、それでも出してしまったプラスチックのゴミがどのくらいの量になるかを見きわめるため、捨てずに貯めておくことにしました。それが、上の写真です。

きっかけは、今世界中で問題になり始めている「マイクロプラスチック」について知ったことでした。私たちが日常のあらゆる場面で使っているプラスチックの一部がなんらかの理由で海に至り、太陽光などの影響で砕けて小さくなったものがイワシなどの海洋生物によって捕食されて生態系に取り込まれてしまうのだそうです。また、プラスチックはその特性上、有害物質などを吸着しやすいことも影響が懸念される理由のひとつです。人体への影響はまだ明らかになっていませんが、取り込まないに越したことはないでしょう。

今や私たちの生活に欠かせないプラスチック。それらがまわりまわって人類の安全・安心を脅かしているとしたら、私たちの今の生活を見直してみる必要がありそうです。しかし・・・、

私たちが使っているプラスチックは本当に欠かせないものなのでしょうか?

それを知るため、まずは一週間だけ、使い捨てのプラスチックを使わずに生活できるかを試してみることにしました。今回は、包装容器などのプラスチックを手に入れても、それが繰り返し利用できるものであればOKということにしました。また、チャレンジ後もこの生活を続けられるかどうかが大事なので、極力生活水準を落とさずに、衛生面や栄養バランスなども考えた上で実行する必要があります。それにはプラスチック容器を他のもので代用するなどの発想が大事になってきます。

1日目

決意の夜。仕事帰りに最寄り駅を降りると今日の夕御飯を考え始めました。

駅を出るとパン屋さんが見えます。トレイの上に並べられた焼き立てのパンからの香ばしい匂いに足が向きます。
(ちょっとずるいけど、今日の晩御飯はこれでいいかな・・・。)

しかし、その想いは一瞬で敗れ去りました。このお店ではパンを購入すると店員さんが一個一個透明のポリエチレンの袋に入れてくれて、さらにそれをお店のロゴが入った手持ち用の袋に入れてくれることを思い出したのです。布製のエコバッグの準備はしていましたが、パンの粉や具材が接触してもいいからそのままエコバッグに入れてくれと言う心の準備はできていませんでした。
(・・・素直に夕食を作ることを考えよう。)

次に向かったのは大型スーパーマーケット。
(品数や種類が豊富なので、包装容器がない商品もそれなりにあるだろう・・・。)

実は、その日お米を切らしていました。まずはお米を手に入れなくてはいけません。ところが、そのスーパーではすべてのお米がポリエチレンやポリアミドなどの袋に入っており、紙袋に入ったお米は売られていませんでした。出鼻をくじかれました。そのほか、うどんやそばなど、その日の主食になりそうなものは、ことごとくプラスチックの包装容器に入っていました。中には紙っぽい質感のものもありましたが、よく見ると「プラ」の表記が入っています。各商品棚を3周くらいした挙句に選んだのは、紙容器に入った即席カップライス。お湯を注ぐと3分で食べることができる商品です。厳密にいうと透明の外装フィルムに覆われていましたが、量としてはこれが一番少ない。夜も遅かったのでその日はその少量のフィルムには目をつぶることにしました。

おかずも手に入れたいところです。野菜コーナーでもほとんどの商品が包装された状態で並べられています。そこで、赤々としたトマトが裸で並べられているのが目に留まりました。よし、サラダにしよう。レタスを見つけましたが、お行儀良くプラスチックのお皿に乗って並んでいます。お皿だけをその場に残していくことも気後れしたため、隣にあったブロッコリーに変更しました。なんとか晩御飯を揃えられそうです。

レジでは、買い物かごに「レジ袋NO」の札を入れたにも関わらず、わざわざトマトとブロッコリーを透明のポリ袋に入れてくれようとします。ここは丁重にお断りし、マイエコバッグに野菜をそのまま入れて家路を急ぎます。

これまでプラスチックの性質としては「丈夫さ」と「加工のしやすさ」であることは教科書で習ってなんとなく知っていました。しかしこの日、それだけではなく商品を長持ちさせるための「密封性」もプラスチックの重要な役割なのだと痛感したのです。

2日目

この日は仕事がお休みです。
昼は外食で済ませたが、手元にあったおしぼりの袋を思わず開けてしまいました。
駅ナカの店であったためお手洗いは遠かったですが、事前に手を洗うことはできたはずです。また、濡れタオルなどをお手拭きとして持ち歩くこともできます。
しかし驚いたのは、いかに自分が普段から意識せずにプラスチックゴミを出しているかということでした!

さて、毎晩インスタントライスというわけにもいかないので、夕飯のためにポリ袋に入ったお米を購入しました。2kgなら毎日1合ずつ炊いて2週間分の主食になると考えれば、買ってしまった方がトータルでの廃棄量は減らせる!と自分を納得させます。
(今回は手に入りませんでしたが、実際には紙袋に入ったお米も多く売られています。)
漬物はどれもポリ袋に入っていて買えなかったので、鯛(ちょっと豪華!)の缶詰を買って炊き込みご飯をつくりました。
それから、トマトとズッキーニを買って炒め物です。(2日連続でトマト大活躍!)

3日目

お昼は前日の炊き込みご飯の残りを自前のプラスチックタッパーに詰めて持って行きました。箸を忘れてしまったので、会社の引き出しにあったプラスチックのスプーンを開けました。よし、これは洗って繰り返し使うことにします。

この日は早く帰れたので、種類が充実していそうなデパ地下に寄って買い出しです。
お肉が欲しいなぁと思いながら店内を進もうとすると、ちょうど入口近くで焼肉の試食がたくさん置かれています。
ラッキー!
美味しい!
そしてそこで気が付くのです。
(あぁ、プラ容器だった・・・。)

懲りずにお肉を探します。しかしながら、発泡トレイなどの容器でないものはただ一つ、桐の箱に収められた高級そうなお肉だけ。さすがにこれは手が出ません。

近くのスーパーに戻ると、惣菜コーナーを見てみます。惣菜はセルフでとる方式で、すぐ近くにはお祭りの時に屋台で買う焼きそばが入っているような使い捨てフードパックが積まれています。しかし、よくみると下の方にひっそりと半面がフィルムでもう半面が紙でできたエコパック(正式にはハーフクリアパック等の商品名で売られているようです)が置かれていました。
総菜コーナーはこれまでに何度も利用しましたが、このチャレンジに取り組むまでは恥ずかしながら、その存在に気がついていませんでした。ごめん、エコパック。
エコパックの方を目立つ位置に置けばそちらを使う人の方が多くなるのになぁなどと考えながら、その日の食材調達は完了です。

さて3日目が終わったのでここで前半戦終了です。どうやら、プラスチックの包装容器を全く使わないことは難しいようです。一週間でどれだけの使い捨てプラスチックを手に入れることになるのやら。

後半に続きます・・・。


参考: ナショナルジオグラフィック連載 研究室に行ってみた。東京農工大学 マイクロプラスチック汚染 高田秀重



Author
執筆: 高知尾 理(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
宇宙では既知の元素や素粒子だけでは説明できない現象が観測されています。これを説明する「暗黒物質」の探索実験XMASSに携わっていました。以前から、「伝える」ということに関心があったことに加え、東日本大震災以降、科学コミュニケーションに強く関心をもったため、博士号取得を機に、2016年10月より未来館へ。