さまざまなジャンルのシステム開発に携わる小林さんは、15歳の時に独学でプログラムを学んだ

パソコンやスマホは私たちの生活に欠かすことのできない存在となり、Webやコンピューターシステムに関わるシステムエンジニア(SE)の需要が年々増えてきています。システムエンジニアの仕事内容は幅広く、働き方もさまざま。それぞれが会社を経営しながら、共同で仕事をする機会もあるシステムエンジニアの小林慧一(けいいち)さん(写真左)と田中弘治(こうじ)さん(写真右)に、どのような思いで仕事をされているのかなどについてお話を伺いました。

■誰も思いつかなかったアイデアで成果が出ることがうれしい

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。

小林さん:
自社の経営とエンジニアリング業務を行っています。今のところ1人の会社なので、フリーランスの方と同じような生活をしています。

システムエンジニアの仕事はさまざまですが、私の場合は仕事をより効率的に進めるためのツールの作成などをして企業さまのお手伝いをしています。企業の中ですでに動いているプロジェクトがあるとして、そのプロジェクトをより円滑に効率的に進めるためにシステムエンジニアとして協力しています。ゲーム業界に長くいたこともあり、ゲーム会社の取引先が多いです。

必要なツールがあれば自分で作ります。作業の割合としては、話し合い2割、調べもの・資料作成5割、コーディング(*1)他3割といった感じです。

ゲーム業界以外の仕事としては、Web開発、Windowsや仮想通貨関連のシステム開発、講師などをしていて、できるだけ面白い仕事を請けるように心掛けています。

田中さん:
コワーキングスペース(*2)を運営しているので、その運営と開発の仕事をしています。朝、事務所でもあるコワーキングスペースのオープン業務を行い、その後は受付対応をしながら他の業務をしています。
最近は開発にかける時間が短くなってきましたが、開発しているシステムの動作確認やプログラミングコードの確認を主に行っています。


*1 コーディング:プログラミング言語を使ってプログラムを作ること。

*2 コワーキングスペース:不特定の会社や個人が共同で使用する事務所や会議・打ち合わせスペース。

<ある一日のスケジュール(小林さん)>
10:00 出社
10:10 業務(打ち合わせ、調査、コーディング作業など)
13:00 休憩
14:00 業務(打ち合わせ、調査、コーディング作業など)
19:00 業務終了、帰宅

<ある一日のスケジュール(田中さん)>
09:00 コワーキングスペースのオープン準備
10:00 コワーキングスペースをオープン、利用者への対応
13:00 休憩
14:00 利用者への対応をしながらエンジニア業務を行う
19:00 エンジニア勉強会に参加
21:00 コワーキングスペースをクローズ
22:00 帰宅


Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?

小林さん:
システムエンジニア観点からのアイデアで飛躍的に効率が改善するポイントが実はけっこうあります。私としては人が喜んでくれればそれで十分なのですが、アイデアを実施するには、分かりやすい説明が必要ですし、承認されるまでにもハードルがあります。そのような壁を乗り越えた上で自分のアイデアが実行に移され、効果が実現される瞬間はうれしいですね。

田中さん:
お客さまの要望をヒアリングしてシステムの構築や改修を行う際、相手が気付いていない視点から提案を行い、それが課題解決につながった時に喜びを感じます。


Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?

小林さん:
依頼主によっては、独自のセキュリティーを組んでいて対応しづらかったり外部に情報共有しないことがあったりするため、問題の解決に時間がかかるのが大変です。

田中さん:
チームで作業をしている時、私の伝え方が悪くてお客さまの期待通りにならなかったときはつらいです。

■大学で身に付けたビジネスの基礎力が役に立っている

Q4. どのようなきっかけ・経緯でこの仕事に就きましたか?

小林さん:
子どもの頃からコンピューターに触れてはいましたが、19歳の時にゲーム会社でアルバイトをしたことが大きなきっかけです。いくつかの会社で働き、気付けば十数年間ゲーム業界でシステムエンジニアをしていました。29歳で独立し、ゲーム業界以外の仕事にも携わるようになりました。

田中さん:
もともとは企画側でしたが、趣味で始めたプログラミングが面白くなり、勉強会やイベントなどに顔を出したりしているうちにプログラミングのスキルが徐々に向上しました。そして、知人のWebサイトを構築し始めたのがきっかけで独立しました。


Q5. 大学では何を学びましたか?

小林さん:
特に目的はありませんでしたが生物系の学科に入りました。1年生の時にたまたま一般科目として履修した線形代数の知識が、数年後に関わった3Dグラフィックス系の実務で生かされたのは幸運でした。一般教養って大事ですね。

田中さん:
政治経済学部に進学したので、大学生の頃はプログラムに関して一切勉強したことはありませんでした。ただ、当時学んだことは、どのようなものを作ったらいいかについて考える段階でとても役に立っています。
また、自分でサービスを公開するときはプライシング(価格設定)をはじめ考えることが多いので、その意味でもプログラム以外のことを勉強しておいて良かったです。


Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?

小林さん:
小学生の頃からゲームを作りたいと思っていました。たぶんそれが一般的にいう「夢」なのかもしれませんが、その夢は高校生の時点で既にかなえていて、その延長線上に今の仕事があります。

田中さん:
事務職の会社員になると思っていたので、今は真逆ですね。

■自ら調べ、考え、作っていく力が必要

Q7. どういう人がエンジニアに向いていると思いますか?

小林さん:
調べることが苦にならない人、自分の言葉で文章を書ける人が向いています。他人の理論をしっかりと理解できて、自分の理論を組み立ててそれを説明できることも大切です。学習に対して快感を覚えるタイプであることが望ましいですね。

田中さん:
何かを作って世の中に公開するのが好きな人が向いています。作りたいものがないとスキルアップに苦労すると思います。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。

小林さん:
宿題はズルをしないでちゃんとやりましょう。学校の宿題なんてやって当たり前と思う人もいるかもしれませんが、きちんとできている人は実はとても希少で、誰もができることではありません。今それをしっかりできている人は誇りを持ちましょう。

誇張ではなく、それは技術の最先端に立つための必要条件の一つです。「最先端」を他人事と思わないでください。真摯に学習と咀嚼(そしゃく)と実践を続けてください。学習すべきものを食べ尽くしてもなお空腹が静まらない時が来たら、自分が最先端に立ったことの証しです。

田中さん:
今後はあらゆるサービスにソフトウエアが必要となり、システムエンジニアが活躍する場面はもっと増えていくと思います。その時に社会の歯車のような存在になるのではなく、身に付けたスキルで自分にしか生み出せない付加価値を持ったソフトウエアを世の中に公開していってほしいです。


システムエンジニアの需要が高まり活躍する人が増えていますが、好きなことややりがいを感じることと向き合っていくには、自ら調べて学んでいく力が問われるようです。システムエンジニアに興味がある人は、積極的に学ぶ習慣をつけるといいかもしれませんね。

システムエンジニアの目指し方は、情報工学系の大学や専門学校で専門的知識を身に付けたり、大学を卒業して就職した会社で一から学んだりとさまざまです。自分にあった目指し方を模索してみてください。


【profile】
歩元(ほげん)株式会社 代表取締役 小林慧一(こばやし けいいち)
コワーキングスペース茅場町 Co-Edo(コエド) 代表 田中弘治(たなか こうじ)

歩元 http://hogen.co.jp/
コワーキングスペース茅場町 Co-Edo https://www.coworking.tokyo.jp/