春ドラマが続々と最終回を迎えている。視聴率では『特捜9』『未解決の女 警視庁文書捜査官』『警視庁・捜査一課長』とテレビ朝日の刑事ドラマが堅調で全作品が平均2ケタ台、それ以外では二宮和也主演の『ブラックペアン』(TBS)が好調な推移を見せている。

では、視聴者の“満足度”という点ではどうだろうか。データニュース社が運営する視聴状況調査「テレビウォッチャー」では“満足度”を集計。その膨大なデータと日々向き合う研究員が、初回からどれだけ満足度が上昇したのかを示す“満足度上昇数”に注目し、春ドラマの中で最終回に向けて大いに盛り上がっている作品を紹介する。

●「テレビウォッチャー」満足度調査概要
・対象局:地上波(NHK総合、NHK Eテレ、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)
・サンプル数:関東1都6県、男性1,200+女性1,200=計2,400 ※回収数は毎日変動
・サンプル年齢構成:「20~34歳」「35~49歳」「50~79歳」各年代男女各400サンプル
・調査方法:毎日モニターにテレビ視聴に関するアンケートを同じアンケートモニターへ配信、データを回収するウェブ調査
・採点方法:最高点を「5」とし、「3.7」以上を高満足度に基準
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    (左から)『コンフィデンスマンJP』主演の長澤まさみ、『シグナル』主演の坂口健太郎、『モンテ・クリスト伯』主演のディーン・フジオカ

『デート』『銭の戦争』の15年1月期以来

満足度という点で久々に好調なのが、フジテレビ系の3作品。『コンフィデンスマンJP』(毎週月曜21:00~)、『シグナル 長期未解決事件捜査班』(毎週火曜21:00~)、『モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐―』(毎週木曜22:00~ ※14日は21:00~)のこれまでの満足度平均(6月4日放送分までの集計、5点満点)は、それぞれ3.81、3.81、3.79とすべて高満足度の基準3.7を上回る高数値で、春のゴールデン・プライム帯(19~23時)ドラマの2位から4位まで上位を占めている(1位は『ブラックペアン』)。

昨年を振り返ると、GP帯の中で最も高い満足度だったのは、『陸王』(TBS)で4.12だったのに対し、最下位は『セシルのもくろみ』3.09、続いて『突然ですが、明日結婚します』3.17など、下位6作品がフジテレビの作品という不調ぶり。

また、データが残る12年4月期以降から振り返ると、フジのクール全作品が高満足度の3.7を超えていたのは、『コンフィデンスマンJP』脚本家を務める古沢良太の前作で、杏主演の『デート~恋とはどんなものかしら~』(期間平均3.87)や、草なぎ剛主演『銭の戦争』(同4.03)などが放送された15年1月期以来3年ぶりで、その高数値が並んだのもこの期のみだった。久しく低迷していたフジのドラマ作品だが、満足度においては復活の光が見えてきた。

理想的な上昇『モンテ・クリスト伯』

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山本美月(左)とディーン・フジオカ=『モンテ・クリスト伯』14日放送の最終話より (C)フジテレビ

そのフジ作品の中でも、後半に進むにつれより好調な数値を示しているのが、ディーン・フジオカ主演の『モンテ・クリスト伯』。初回満足度は3.44と平凡な滑り出しだったにもかかわらず、第2話以降徐々に上昇し、第6話と第7話で最高の3.96を記録した。初回からの上昇数0.52ポイントは、全体2位の伸びしろだ。

また満足度の場合、満足度が低い→視聴者数が減る→ファン視聴層のみになる→満足度が上昇するというパターンが多いのだが、今作は初回の接触者(※)から直近の接触者を比較すると、約15%も視聴者数を増やしながら満足度も上昇させている。高い満足度を獲得できた結果、多くの視聴者を巻き込んでいった理想的な推移の作品と言えよう。

(※)…「テレビウォッチャー」の接触者は録画やオンデマンドでの視聴者も含めるため、リアルタイムでの視聴者を測る従来の視聴率と差がでる場合がある。