東京都は2020年に向けて「新しい東京」を掲げ、「3つのシティ」の実現を目指す東京都は、セーフシティ、ダイバーシティ、スマートシティを挙げているが、交通・物流ネットワークも大きな幹を占める。東京の最大の弱点と記される渋滞の改善を目指し環状道路の整備、空港の容量やアクセスなどともに次世代交通システムの導入も柱の1つになる。
東京都は、今年度から自動運転技術実用化の加速のために自動運転事業者と交通事業者、AI、IoT、ICTなどの技術を組み合わせるビジネスモデルプロジェクトの支援事業を開始している。事業プロモーターとして支援事業を受託する日本工営は、ビジネスモデルプロジェクトの実証実験が都内において実施されることを8日、発表した。
プロジェクトは地域間の回遊性向上や移動制約者支援、深刻化するドライバー不足への対応などの課題を自動運転技術の活用で解消することを意図するもので、ひとつは多摩市の多摩ニュータウンでの神奈川中央交通とSBドライブによる「郊外部住宅団地での自動運転バスによる移動手段創出」でバス事業者の視点から既存のバス路線を補完し、起伏が多い地域における住民移動支援、AI活用の車内サービスなどの検証を行う。もうひとつは千代田区から港区にかけて、日の丸交通とZMPによる「都心部での自動運転タクシーによるサービス実証」で、自動運転タクシーの走行による需要の多い都心部路線でのドライバー不足解消、ICT技術を活用した配車サービスの検証を行う。
交通を含むインフラ事業は、各種公的機関との密接な連携やプロジェクトの計画的な進行、細部にわたる詳細な検証と当然ながら大変なプロジェクトになる。日本においては、建設業をはじめ慎重にものづくりを進めることに定評があるが、先端ITを含む次世代インフラ構築でも、着実且つ大胆な成果が期待される。