写真は、筆者が住むカリフォルニア州バークレーにあるカリフォルニア大学バークレー校で一般公開されている「ローレンス科学館」(Lawrence Hall of Science)に設置され、今でも稼動している初代iMacだ。実に、20年前に発売されたものだ。

  • カリフォルニア大学バークレー校でいまでも稼働している初代iMac

鉄のフレームで固定されているため、ボディ全体を見ることはできないが、机に埋め込まれたUSB接続のトラックボールを活用していくつかの「マルチメディアコンテンツ」が楽しめる。

ちょうど20年前の1998年5月6日、当時Appleに復帰して数年が経ったSteve Jobs氏が突如披露したのが、一体型の物珍しいデザインをまとったコンピュータ、「iMac」だった。

  • 1998年5月に登場した初代iMac。ボンダイブルーをまとった半透明ボディの美しさが衝撃的だった

Tim Cook氏は、Twitterの投稿でそのことを祝い、iMacを披露した当時の映像を共有している。また、Tim Cook氏のツイートへの返信で、側面から見た画像でiMac20年の歴史を振り返るツイートも見つけることができる。

初代iMacは、Jobsの復帰以前にGil Amelio氏がCEOを務めていた時代から秘密裏に開発が進められていたプロジェクトだったという。PowerPCと15インチCRTディスプレイを備え、複雑な拡張ポート類を一切排除してUSBを採用した製品だ。

  • iMacは、それまでのMacintoshには欠かせなかったさまざまな拡張ポートをバッサリ落とし、USBのみとしたのが画期的だった

ボディのデザインも、鮮やかなボンダイブルーと白い半透明のプラスティックのツートンに仕上げ、コンピュータという存在そのもの、あるいはデザインに気を配るコンピュータの姿を初めて披露する製品となった。

初代Macintoshからのディスプレイ一体型Macの伝統を受け継ぎ、iMacにも取っ手が付けられた。プレゼンテーションでも、Macintoshのトレードマークともなった筆記体の「hello」という画面表示が用いられた。実際、iMacはAppleのMacカテゴリを活性化させ、コンピュータ業界全体にも透明化やカラフルといったトレンドを作り出した。

iMacはその後、CD-ROMドライブをDVD-ROMに変更したり、Power Macintoshシリーズに搭載されていたデジタルビデオの取り込みなどに利用する高速通信ポートのFireWire(IEEE1394)に対応するなど、着実な進化とヒットを重ねていった。また、初代はボンダイブルー1色で登場したが、その後カラーバリエーションを増やし、歴代モデルでは通算13種類のカラーが用意された。