[ニューヨーク 5日 ロイター] - ニューヨーク市の不動産会社ルーディン・マネジメントは、自社の16件のオフィスビル物件で2005年以降、電力消費量を41%削減している。ソフトウエアで制御できる空調設備にマシンラーニング(機械学習)のアルゴリズムを導入した新技術のおかげだ。

ルーディンの「ナンタム」と称する基本ソフト(OS)は現在、ビルを出入りする人の流れに応じて、室温をいつ調整すべきかを予測できる。日々のデータを捨てずに蓄積しているためだ。

こうした技術が出現する中、不動産と情報技術(IT)を融合した「プロプテック」の分野で多数の新興企業が、商業用不動産の生産性を改善するため、拡大しつつあるデータの活用を図っている。

リース契約や資本投入を伴うプロジェクト、ビルのインフラなどからのデータを収集しているプロプテック企業には、ベンチャーキャピタル(VC)が近年、20億ドル余りの資金を投じている。

ナンタムはルーディン傘下のプロプテック企業であるプリスクリプティブ・データが保有している。ルーディンの最高執行責任者(COO)とプリスクリプティブ・データの会長を兼務するジョン・ギルバート氏は、ビルを効率的に管理するためのツールは数年前まで存在しなかったと話した。

ルーディンの16件のオフィスビル物件では過去12年間で各テナントが使う電力量が11%増えたにもかかわらず、全体の電力消費量は減少した。

ギルバート氏は、改善されたソフトウエアで分析できるデータの徹底的な収集と、空調システムでの可変式回転速度のファン使用により、ビル設備運用システムにおける未開拓分野を新たに切り開くことができたと説明した。

物件内の人数と空調用ファンの回転速度といった異なるデータ間の相関関係を分析するだけでも、電力消費量を大きく減らすことができたという。

大手不動産会社CBREグループ<CBRE.N>は、同社がビル設備運用システムのスマート化を支援した2万2000件余りの不動産物件で、年間の水道光熱費を5─15%節約できたと推計している。

ビル設備運用システムのスマート化を手掛ける企業、エナジー・テクノロジー・セービングスは5日、「スマートキット・AI」と呼ぶ携帯電話向けソフトウエア開発のため、優先株を売り出して180万ドルの資金を調達した。

商業用不動産物件はエネルギー消費量が大きいため、ビルのスマート化に重点を置く動きが広がっている。

ノルウェーの企業、ディスラプティブ・テクノロジーズ・リサーチなどが製造したセンサーを使えば、ビル内の室温と人の動きの監視で効率性が一段と向上する。

プリスクリプティブ・データとディスラプティブ・テクノロジーズの両社は、コイン大のワイヤレスセンサーが連邦通信委員会(FCC)から認可を得られれば、米国内で合同で販売する計画だと発表した。このセンサーは数秒で設置でき、すぐデータを転送できる。

一方、ジョーンズ・ラング・ラサール<JLL.N>傘下の投資会社ラサール・インベストメント・マネジメントはここ3─4年、プロプテック企業約190社の動きを追跡している。その中で特に、物件リースのツールを提供する新興企業VTSについて、データをリアルタイムで収集できるようになって待ち時間が解消され、効率性が向上したと評価している。

新興企業オネスト・ビルディングスは顧客用と社内用の双方のデータを単一のプラットフォームに統合することで企業の資本投入を伴うプロジェクトを支援している。

ブルックフィールド・プロパティ・パートナーズ<BPY.O>はオネスト・ビルディングスを採用することで、典型的な資本プロジェクトのコストが6.3%削減され、事務手続きの所要時間を92時間から18時間に8割短縮できたと推計している。

ブルックフィールドとルーディンの両社はオネスト・ビルディングスに投資している。

(Herbert Lash記者)