キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は6月5日、「全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)」に対応した「EDI-Masterシリーズ」の新製品「EDI-Master B2B TLS-Accelerator」と「EDI-Master B2B for BANK TCP/IP-Client Ver.9」を発売した。

NTT東日本とNTT西日本が発表した、公衆交換電話網のIP網移行(PSTNマイグレーション)による2024年のINSネットデジタル通信モードの提供終了に伴い、電話回線を使用した従来型の企業間電子商取引(EDI)を利用している企業は、インターネットEDIへの移行が必要となる。

これを受け、全国銀行協会(全銀協)は「全銀手順」や「全銀TCP/IP手順」などの電話回線を使った従来型に替わる通信手順として、インターネット対応の新たな通信手順「全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)」を昨年5月に制定した。

EDI-Master B2B TLS-Acceleratorは、TCP通信を暗号化できる中継サーバとして機能する製品で、既存の全銀TCP/IP手順システムとの組み合わせでTCP/IP手順・広域IP網に対応が可能。

  • 「EDI-Master B2B TLS-Accelerator」の概要

    「EDI-Master B2B TLS-Accelerator」の概要

特徴としては「既存EDIシステムの変更を最小限に抑えたインターネットEDI対応」「堅牢でセキュアなシステム構築が可能」「ブラウザベースで簡単な運用管理」「さまざまなTCP/IP通信のSSL/TLS化が可能」の4点を挙げている。

既存EDIシステムの変更を最小限に抑えることに関しては、従来から運用している全銀TCP/IP手順システムを変更せずにSSL/TLS暗号機能を追加し、インターネットEDIをセキュアに利用することができる。クライアント側通信の暗号化にも対応しているため、サーバ側・クライアント側を問わず、既存システムと同一筐体・別筐体いずれの構成でも対応できる。

セキュアなシステム構築が可能な点については、Linux(Red Hat Enterprise Linux)対応、仮想環境対応、冗長構成などに対応し、EDI-Master B2B TLS-AcceleratorをDMZ上に配置することで、接続先システムと社内LANシステムとの直接接続を防ぐことを可能としている。

運用管理では、LAN接続されていれば遠隔地でもブラウザを使い、運用に必要な操作をすることを可能とし、中継設定や通信ログ閲覧、証明書の管理など運用に必要な機能を提供する。

さまざまなTCP/IP通信のSSL/TLS化を可能にすることに関しては、全銀TCP/IP手順だけでなく、HTTPやメールプロトコル(POP3・SMTP・IMAP4)など、SSL/TLS化されていないTCP/IPベースの通信手順をSSL/TLS暗号化することもでき、外部メールサーバへのTLS接続や、簡易的なリバースプロキシ用途などに対応。

一方、EDI-Master B2B for BANK TCP/IP-Clientは、従来の電話回線を用いた「全銀TCP/IP手順」に加え、今回のバージョンアップによりTCP/IP手順・広域IP網に対応し、SSL/TLS暗号機能の搭載によりインターネットでの利用もできる。

価格は、いずれも税別でEDI-Master B2B TLS-AcceleratorのWindows版が20万円~、Linux版が60万円~、EDI-Master B2B for BANK TCP/IP-Client Ver.9は7万8000円。同社では、EDI-Masterシリーズを中核としたEDIソリューション事業で、2022年までに年間売上高25億円を目指す。