左右が無線でつながる「完全ワイヤレスイヤホン」が人気です。Appleの「AirPods」が大ヒットしてからというもの、音質や左右の接続性に工夫をこらした製品が次々に登場、スマートフォンユーザから熱い視線を集めています。そこに現れたNuheara(ニューヒエラ)の「IQbuds」、確かに括りとしては完全ワイヤレスイヤホンですが、カテゴリの枠を超えた機能が……。その詳細に迫ります。

  • 完全ワイヤレスイヤホン「Nuheara IQbuds」レビュー

    真夜中の編集部は音がよぉ~く聞こえます(マイナビニュース・デジタル編集一同)

周囲の音から騒音だけを取り除く

イヤホンやヘッドホンの利用目的といえば音楽鑑賞ですが、音楽を聞こえやすくするために「ノイズキャンセリング機能」を備える製品が増えています。内蔵の小型マイクで周囲の騒音、環境音を集めて解析し、その反対の音(逆位相の音)を出力して打ち消すことで、騒音を聞こえにくくしようという理屈です。この通称“ノイキャン"機能は、音楽に集中させてくれる効果はもちろん、控えめな音量でも音楽を楽しめるため、聴覚の負担軽減になります。

  • 完全ワイヤレスイヤホン「Nuheara IQbuds」レビュー

    オーストラリアのNuheara社が開発した補聴器ライクな完全ワイヤレスイヤホン「IQbuds」

一方、ここで紹介するオーストラリア・Nuhearaの完全ワイヤレスイヤホン「IQbuds」は、内蔵の小型マイクでノイズを低減することは共通するものの、“ノイキャン"とは異なる機能を提供します。

環境音と人間の声のバランスを調整する技術「スーパーインテリジェントノイズコントロール(SINC)」により、周囲の音から騒音だけを取り除き、「人の声を聞きやすくする」効果を実現するのです。ノイキャンは騒音か人の声かを区別しませんから、効果は大きく変わってきます。

  • 完全ワイヤレスイヤホン「Nuheara IQbuds」レビュー

    IQbudsに付属のケース。3回ぶんのフル充電に対応しています

「人の声を聞きやすくする」機器には、補聴器があります。補聴器は医療機器ということもあり、数十万円という製品も珍しくありませんが、IQbudsの希望小売価格は39,880円(税別)。比較的手ごろな価格で、補聴器ライクな聞き取りアシスト機能を入手できるところが、この製品の肝と言っていいでしょう。

もちろん、音楽鑑賞用イヤホンとしての性格も持ち合わせています。左右が無線でつながる完全ワイヤレスイヤホンですから、音楽再生にも使えます。ハウジングの構造は密閉型ですから音漏れもなく、通勤通学のお供として活用できるでしょう。

  • 完全ワイヤレスイヤホン「Nuheara IQbuds」レビュー

    聞き取りアシスト機能がこの製品の肝ですが、見た目は音楽用イヤホンそのものです

左右の通信にはNFMI(*)を採用し、音が途切れにくくなっています。連続再生時間は最大4時間、3回ぶんのフル充電に対応したケースを使えば最大16時間、聞き取りアシスト機能だけの利用(音楽再生なし)では最大32時間もの連続使用が可能です。

  • NFMI(Near Field Magnetic Induction) : 電磁誘導を応用した音途切れが起こりにくい通信技術

ハウジングの外側に、タッチセンサーを搭載していることもポイントです。左右それぞれにタップとダブルタップの機能が割り当てられており、工場出荷時点では音楽の再生・停止など6種類の操作が登録されています。専用アプリ「IQbuds」を使うと操作の割り当てを変更できるので、聞き取りアシストに特化したイヤホンに仕立ててもいいでしょう。