激動のこぶしファクトリー、読書好きのリーダーが語る「楽しさ」の意味

2018年3月、5人編成となり初のシングル「これからだ!/明日テンキになあれ」をリリースしたこぶしファクトリー。同グループでリーダーを務める広瀬彩海は、ハロー!プロジェクト随一の読書家でもあり、2015年秋から書評サイトで連載を継続中(毎月更新しており、これまでに1〜2回くらいしか休んだことがない)。

2018年の1月には「寒くて家にいることが多かったから」という理由もあり、1カ月で20冊を読破。広瀬にとって大切なインプットの一つである読書からの影響、こぶしファクトリーのリーダーとしての思考の変化について、インタビューを通して迫ってみた。

─すごい読書量ですけど、読むだけではなく書くことにも興味はあるんですか?

広瀬:日記とかは書かないんですけど、ものすごく面白い本を読んだときは、誰に提出するわけでもなく勝手に一人で読書感想文を書いたりします。中学生の頃って、クラスに何人か読書感想文や作文とか好きな子っているじゃないですか。私はそういうタイプで、当時の先生が「もし面白い本と出会ったら、自分の気持ちを文章や詩にしてみるといいですよ。先生がいつでも見るので」って言ってくださったんです。なので、頻繁に読書感想文を書いて提出してたんですが、今は提出する相手がいないので、書き終わったものは家に置いてあります。完全な自己満足なので、皆さんに見てもらえる内容じゃないですけど。

─「話す」の部分はどうですか。ボキャブラリーが増えたとか、表現力が増したとか、何か変化あります?

広瀬:まだまだ足りない感じです。自分の受け答えのボキャブラリーって短期間で変わるものじゃないので、どうしても同じことを言いたくなってしまうんです。自分の中で一番伝えたいことを、言葉や言い回しを変えたりして、誰が聞いても納得できるようなものにするっていうのは、いつになっても難しいなと思います。

ただ、MCはちょっと変わったかもしれません。例えば、他のメンバーのMCを聞いてるときに、その話は誰が聞いても伝わる内容なのかを考えるようになって、MC中に「その表現だとちょっと分かりにくいな」と思ったら、付け足したり、噛み砕いたりして、フォローします。こぶしファクトリーの身内の話って、ファンの方にはすぐ伝わるんですけど、インストアイベントで偶然私たちを見かけた方は分からないと思うので。例えば、こぶしファクトリーの音楽を知ってる人は、私たちがアカペラやボイスパーカッションに挑戦してるのを知ってるから、それを前提に話ができる。でも、事情を知らない人からすると「なんのアカペラをやってるの?」「なんでボイスパーカッションなの?」ってなると思うんです。そういう細かいところを気にしてMCでは話すようにしてます。

─他のメンバーも広瀬さんがそうやってフォローしてくれるから、ステージ上で話すときは安心なんじゃないですか?

広瀬:そうだといいなと思います。同い年の野村みな美ちゃんは、MCがうまくまとめられないって話をよくしているので、「あやぱんがいると安心する」と言ってもらったりします。ファンの方からも「あやぱんのMCは安心して聞いてられるよ」って言っていただけるので、うれしいです。でも、いざ自分が話す番になると、1から10まで説明しちゃうので(笑)、その点は改善していかなきゃいけないなと思います


─自分が担当させてもらっている書評サイトでの連載は気づけば2年半経過しました。その間、こぶしファクトリーもメンバーの卒業が続いたり、いろんなことがあったと思います。リーダーとしては、そのへんはどう捉えていますか?

広瀬:リーダーである私の責任も大きいですし、何かあったときに周りから「リーダーのせいじゃないよ」って言ってもらうこともありますが、やっぱりこれは自分の責任じゃないかと思うこともあります。逆に「これは私の問題というより、みんなの問題だ」と思ったときに、「あなたの責任だよ」って言われることもありますし、リーダーっていうのは責任が大きいポジションだなと思います。でも、特に大変だった時期はあまりないんです。というのも、メンバーそれぞれが自立していて責任感があって、頑張ろうという自覚がある。私はみんなに助けられながら、リーダーをやらせてもらっている感じですね。それじゃダメなのかもしれないですけど、いい意味でリーダー感がないのかなという気はします。今はお互いにダメなことはダメって言い合える環境というか、みんなでいい部分を伸ばしていきたいなっていう考え方に変わりました。

─なるほど。

広瀬:こぶしファクトリーは、ハロプロ研修生の大勢の中から選抜されてできたグループなんですが、私は井上玲音ちゃんが同期で仲がよかったとはいえ、研修生になった時期は皆バラバラで。お互いほぼ話したことない、みたいなところからスタートしたんです。そこから3年、いろんなことを一緒に経験したことで、言いたいことも言えるようになった。いい意味で、遠慮がなくなったと思います。一番の変化は、みんなの笑顔がすごく増えたことです。些細なことで盛り上がったりとか、誰か一人が面白いことをしたら全員で笑ったりとか、いつも楽しそうにしてます。

─リーダーとしてはうれしいですよね。

広瀬:そうですね。こぶしファクトリーとして活動していくなかで、「大丈夫? 大変だったね」と気にかけてくださる方も少なからずいらっしゃると思いますし、そのことに感謝しつつ、ステージ上では明るい空気を作っていかなければいけない。ファンの方は、私たちの楽しそうな姿を見て喜んでくれるし、その笑顔を見て私たちもうれしくなる。その連鎖反応が、今のこぶしファクトリーのライブでは起きてる気がします。3年前は必死にパフォーマンスしている感じが強すぎて、ある意味ギラギラした空気だったと思うんです。ライブ中のメンバー間でのおふざけみたいなのも多くて、それはそれで楽しかったです。でも今は、メンバー間で自然とアイコンタクトが取れたときとか、何気ない瞬間に楽しさを感じるようになって、その結果、自然と盛り上がるみたいな。盛り上げようとするんじゃなくて、楽しいから盛り上がる。そういう変化をここ最近は感じます。

─ハロプロの他グループの先輩に相談したりすることもあるんですか?

広瀬:こぶしファクトリーから最初にメンバーが卒業することになったとき、アンジュルムの和田彩花さんとゴハンに行かせてもらったんですけど、そのときに和田さんから「リーダーとして、言いたいことは何でも言っていいんだよ」ってアドバイスをいただいて。仲間同士、嫌われたくないとか、その場の空気を壊したくないとか、いろいろあるかもしれない。でも、一緒にお仕事をする仲間だって考えれば、少しは気がラクになるよって。当時、その言葉がすごく心に響いたんです。それからは何かあったとき、和田さんに連絡を取ってお話を聞いていただいたりすることもあるので、すごく支えになりますし、たくさん勉強させてもらってます。


─いい話ですね。5thシングル「これからだ!/明日テンキになあれ」も広瀬さんがさっき言った「変化」を象徴した曲とも言えますね。

広瀬:「これからだ!」は、ハロー!プロジェクトのコンサートで初披露した曲なんですが、ハロコンにいつも足を運んでくださるファンの方が、この曲を聴いて涙ぐむ姿がステージ上から見えて、それがすごくうれしかったです。私たちの決意を歌にしていただいて、それを音楽で届けて、感動してくれる方がいる。そんな方が一人でもいる限り、頑張りたいとすごく思います。



─そういえば、高校卒業されたんですよね。

広瀬:はい、しました。

─書評のテーマで「青春」というテーマを何度か挙げてましたけど、学生時代の青春の思い出は何か作れましたか?

広瀬:放課後にお友達と遊びに行ったりとかはできなかったんですけど、午前中で学校が終わると「お仕事なければゴハン食べに行こう」ってよく誘ってもらって、高校生らしく食べ放題のランチに行ったり(笑)。あとはカラオケも行きました。私、小学校から歌やダンスを習っていたこともあって、放課後は遊べないことの方が多かったんですよ。「今日もどうせ遊べないよね?」って言われて、そのうち誘われなくなっちゃうのがとても寂しくて。その話を高校のお友達にしたんです。「だから誘ってくれてうれしい」って。そしたら、毎回誘ってくれるようになって、「今日はどう? 今日はどう?」って学校に行く度に。遊べないことも多いのに、そうやって気にしてもらえるのがすごくうれしかったです。一般的な「青春」っていう意味では、時間に余裕があった中学校の方が多かったと思いますけど、その分、こぶしファクトリーとしてお仕事させていただきながら、高校生活も友達のおかげで楽しく過ごすことができました。


広瀬彩海
1999年8月4日生まれ。神奈川県出身。2015年1月2日、こぶしファクトリー結成。その後、リーダーに任命され、9月にはシングル「ドスコイ!ケンキョにダイタン/ラーメン大好き小泉さんの唄/念には念(念入り Ver.)」でメジャーデビュー。同年「日本レコード大賞最優秀新人賞」を受賞。2018年3月には5thシングル「これからだ! / 明日テンキになあれ」がリリースされた。
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