総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2017年」によると、二人以上世帯の全国平均貯蓄額は1812万円。一部の富裕層や都市部が平均を引き上げているのでは?と思ってしまいますが、意外な都市が平均貯蓄額のトップに。生活実態と合わせて自分の貯蓄額を比較してみるといいでしょう。

◆平均貯蓄額TOPは近畿圏で、2020万円!
総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2017年」によると、二人以上世帯の全国平均貯蓄額は1812万円(中央値1074万円)で、勤労者世帯に限ると、平均貯蓄額は1327万円(中央値792万円)という結果でした。こうした平均値は、一部の富裕層や東京、大阪などの都市部のデータによって引き上げられていて、地方では、生活実感とかけ離れている、と考えてしまいます。

しかし、地域別、主要な都市別で見ていくと、必ずしもそうとうは言い切れないことがわかります。集計世帯数が全国で6000強なので、各都市別にするとサンプル数が少なくなっているため、あくまでも参考値ということになりますが、意外な結果が見えてきます。この記事では、全国平均では見えない、各地域の状況を紹介していきます。

地域別 貯蓄と負債(二人以上の世帯)

まず、大きなくくりである地域別でみると、平均貯蓄額のトップは近畿圏の2020万円。次いで関東圏の2008万円。3位に中国圏が入り1824万円という結果になりました。一方、負債額の平均が最も多かったのが関東圏の619万円。ついで東海圏の526万円。3位が近畿圏の495万円となっています。貯蓄額から負債額を差し引いた「純貯蓄額」では、トップが近畿圏の1525万円。次いで関東圏の1389万円。3位が中国圏の1340万円となっています。

年収に対する貯蓄額を表す貯蓄倍率では、近畿圏がトップの3.36倍で群を抜いています。次いで中国圏が3.03倍。3位が東海圏の3.01倍。関東圏は2.98倍で4位。必ずしも、東京を含む関東圏が平均貯蓄額を引き上げていたり、貯蓄意欲が抜群に高いわけではないようです。実際には、近畿、中国など西日本のほうが、貯蓄額が多く、負債を差し引いた「純貯蓄額」も多いことから、金銭的な感覚については、西高東低の傾向があるのかもしれません。

ちなみに、地域別では「北海道」と「沖縄」が単独でデータが出されています。県民所得が常にワースト1位の沖縄ですが、貯蓄額も北海道と比べても600万円以上の開きがあります。地域特性では片づけられない深刻な問題かもしれません。

◆勤労者世帯でもトップは近畿圏の1571万円
二人以上世帯のうち、勤労者世帯だけではどうでしょうか。

地域別 貯蓄と負債(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)

勤労者世帯でも、近畿圏がトップで1571万円。次いで関東圏の1453万円。3位が北陸圏の1375万円。近畿圏は全国でも、勤労者世帯でもトップの貯蓄額でしたが、2位以下は様相が変わりました。負債額が最も多いのは、全国同様に関東圏で935万円。次いで東海圏の820万円。3位に近畿圏の813万円となりました。

負債額については、やはり土地・住宅価格が高い3大都市圏では多くなってしまいます。貯蓄額3位の北陸圏の負債額は614万円と全国平均以下に抑えられており、そのため、純貯蓄額ではトップの761万円という結果になっています。勤労者世帯でも、年収が高いからと言って関東圏が貯蓄額のトップではなく、純貯蓄額に至っては、全国平均以下という実態も見えてきます。

◆主要都市別の平均貯蓄額トップは、奈良市の2503万円!
全国主要都市、東京都区部の計52の貯蓄額のランキングは以下のようになります。1都市のサンプル数が大きなくくりの地区別より、さらに少なくなりますので、参考程度にとどめていいと思いますが、毎回、意外な(と言っては失礼ですが)都市がトップになるのには驚かされます。

都市別 貯蓄額ランキング(1~10位)

トップの奈良市の平均貯蓄額は2503万円で、これは全国平均の1812万円より約700万円多く、これが毎年続くわけですから、奈良市民の貯蓄力には驚かされます。この都市別においても、東京都区部は3位の2295万円ですから、年収が全国トップであっても、やはり消費に回すお金が多くなるのか、貯蓄額の引き上げにはつながっていないようです。

都市別 貯蓄額ランキング(11~30位)

都市別 貯蓄額ランキング(31~52位)

ランキングは貯蓄額で並べたものですが、都市によって暮らしぶりが大きく異なるので、貯蓄額が多ければいい、少なくて大変ということではありません。いくら貯蓄があれば安心なのか、ということでもないでしょう。しかし、平均貯蓄額といった全国平均の数字を細かく見ていくと、その都市の生活実態に沿ったものであったりします。

確かに、ワースト1位の那覇市の平均貯蓄額は838万円と全国平均の約半分であることを考えると、本当に日常の生活に不安はないのか、老後は大丈夫なのかと思いますが、東京や大阪などの都会での生活とは異なるので、一概にこのデータだけでは語ることはできないでしょう。今回ご紹介したデータから、自分が住む都市はどうなのか、そこで生活している自分の貯蓄額はどうなのか、この先の貯蓄プランや生活の仕方などを考えてみてほしいと思います。

文=伊藤 加奈子