傷あとを残したくない貴方、傷には二種類あるとご存知でしたか? 綺麗に傷を治すということは、新しい傷を古い傷にしないことともいえるかもしれません。

◆傷なんて勝手に治ると思いきや……
傷なんて勝手に治ると思っていたのに、あららら、1カ月も過ぎてしまい、痕が残ってしまった。もっと早くに病院にいっておけば……。そんな経験をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

傷には、「新しい傷」と「古い傷」があります。新しい傷とは、2~3週間くらいで自然に治る傷です。簡単な傷などはそうですね。古い傷とは、新しい傷が治った後に、皮膚の姿が変わってしまったものです。新しい傷で終わるはずの傷も、対処の仕方が悪ければ、古い傷になって長く残り続けてしまう可能性があるのです。

◆古い傷にしてしまう5つの原因
傷あとが古い傷として残り続けてしまう原因には、下記の5つが挙げられます。

(1)ばい菌に感染してしまう
(2)傷を乾かしてしまう
(3)治りにくくなる薬を飲んでいる(免疫を抑制するなど)
(4)糖尿病がある
(5)血液の循環が悪い

(3)~(5)はもともとの根本原因があるため、それをコントロールしていきながら、古い傷にしないように早めに病院を受診しましょう。糖尿病のある患者さまは、皮膚状態チェックに定期的に皮膚科に通ってもよさそうですね。

◆自分でできそうな方法は?
(1)と(2)は自分で注意できそうです。

(1)のばい菌がついてしまって、傷が治らないというのは想像できますよね。では、ばい菌をつけないためにはどんな方法があるのでしょうか。

消毒剤が真っ先に思い浮かぶ方も多いと思いますが、実はそうではありません。手を洗うときに、消毒剤だけを吹きかけるのと、石鹸と水で洗うのを比べると、どちらが綺麗になりそうですか? 洗ったほうが綺麗になりそうですよね。それと同じように、ばい菌を落とす一番の方法は水道の水でよく洗うことです。

傷を洗うことに不安を持たれる方は多いですが、新しい傷を優しく、石鹸を泡立ててばい菌をよく落とすように洗ってみてください。土などがついているときは、丁寧に除去しましょう。

また、消毒剤を使うと、体から出てくる水分(浸出液)に入っている、傷を治す栄養素を殺してしまうので、むしろ使わないほうがいいですよ。

(2)については、昔は赤チンキなどを塗って、乾かして傷を治していました。それは、ばい菌がついて傷が治らなくならないようにするためでした。けれども今は、傷を綺麗に治す時代。古い傷も作りたくありません。

傷の表面を乾かしてしまうと、かさぶたができてしまって、治りの進行が止まってしまいます。傷の上は塗り薬を塗り、そのうえにガーゼやテープ保護をして、適度な水分状況を保つことがとても重要です。塗り薬は、皮膚科にいって、適切なものを処方してもらいましょう。

実際に外来診療をしていますと、「この傷、痕が残りますか?」とよく聞かれます。新しい傷を古い傷にしないためのコツ、ぜひ覚えておいてくださいね。

文=蘇原 しのぶ