アニソンシンガー・鈴木このみ14枚目のシングルは、現在放送中のTVアニメ『LOST SONG』のOP主題歌に起用されている「歌えばそこに君がいるから」。この作品では、鈴木が主題歌の歌唱のみならず、主人公・リン役の声優として主演を務めていることも話題となっている。

  • 鈴木このみ
    撮影:Wataru Nishida(WATAROCK)

2016年11月のバースデーライブで突然主演&主題歌担当が発表されてから早1年半。彼女が声優としてこの作品にどう取り組んでいるのか、そしてその経験は、シンガーとしての鈴木このみにどうフィードバックされたのか。その両面について、鈴木に聞いた。

▼サプライズで発表された、声優としての初主演を通じて学んだもの

――『LOST SONG』には今回声優としても主演されていますが、そういった意味で普段の楽曲と違う部分はありましたか?

ありました。リンを演じるにあたって1年間演技レッスンをやっていたので、日頃生活しているなかでもリンというものがずーっと頭の中にあったんです。しかもリンとは歌が大好きっていうこととか共通点もいっぱいあるので、それを探すという作業なしに、いつも以上に曲に自然にシンクロできたように思っています。

――主演が発表になったのは、一昨年のバースデーライブでのことでした。

もうびっくりしました! 20歳のバースデーライブで、サプライズでスクリーンに出て……本当に聞いてなかったんですよ。だから正直、最初は嬉しいっていうよりも驚きのほうが大きかったですね。そのときは、まだ声優の勉強も本格的にはやっていなかったので。

――歌ではなくセリフでの感情表現とかを学ばれたことで、歌をうたうときにプラスになったことはありますか?

ものすごくあります。特にライブが、前よりもすごく楽しいんですけど、それは人に対して感情をぶつけるっていう怖さが薄くなったからなのかなって思います。今までは、「こういう言葉を言うとこう取られるかもしれない」とかいろんなことを頭の中で考えちゃって結局言えなかったりもしたんです。でも、「役に入る以前に喜怒哀楽を人にはっきり伝えられるようにならなきゃいけない」っていうのを徹底的にやらせてもらったおかげで、そういう壁みたいなものを壊して感情をぶつけていくことでもっともっとみんなと一緒になってライブを楽しめる、っていうことに気づけました。

――お客さんと感情をぶつけ合うハードルが、ちょっと下がった。

そうですね。あと、自分の曲って、疾走感のあるものが多いんですけど、そのなかでちょっと引いたりすることでスピード感がより増して感じられたり、っていうのは歌も演技も一緒だなぁって思いました。

▼『LOST SONG』と、この6年間の自分と向き合って生まれた歌詞

――では「歌えばそこに君がいるから」の楽曲自体を聴かれて、最初はどんな印象を受けられました?

「白戸(佑輔)さん節だなぁ」って思いました。楽曲制作前に打ち合わせさせてもらったんですけど、そのときはリンが、歌うときとかにものすごく自由に動く子、と聞いていたので、「両手をいっぱい使って歌うような、広がりのある、キラキラした楽曲でお願いします!」っていうことだけ伝えていたんですよ。そうしたら、ガツンとしたインパクトもでも噛めば噛むほどっていうスルメ感もある曲をいただけました。

――アニメにマッチしたファンタジー感もありつつ、ドラムには激しさもあって、その両方に心を掴まれる曲ですよね。

しかも音的にも現代の感じもありつつ、1サビ後の間奏ではちょっと懐かしい感じの音が聴こえたりして……そういうところがすごく面白いですよね。

――一方、この曲の歌詞は畑 亜貴さんと共作で鈴木さんが手掛けられています。役割分担は、どのようなものだったのでしょう?

まず最初に自分が「何を伝えたいのか?」というのを決めて、歌詞を思いつくままにバーっとメロディに当てて書いていったんです。それをそのあと畑さんにメールを送って、「どうやったらもっとみんなにストレートに歌詞が響くのか?」っていうところを添削していただくような形でよくしていただいて、完成という感じでした。

――伝えたいことは、最初から明確だったんでしょうか?

はい。やっぱりリンと自分自身のいちばんの共通点は”歌”だと思うので、その”歌”について最初に考えまして。「なんで、6年間も歌えてきたのか?」「逆になんで6年間も歌おうと思ったのか?」って自問自答を繰り返してみたんです。そうしたらすごくシンプルなんですけど、「誰かに逢いたくて、幸せになってほしくて歌ってるんだなぁ」っていう答えに気づけたので、「それをこの曲の中に入れればいいんじゃないかな」って思ったんです。リン自身も最初は自分自身の夢を叶えるために歌っていたのが、たとえばメルとの約束を果たすためだったり、フィーニスを救うためだったりとリンの中での”歌”の役割が変わってきてるはずなんですよ。そこを、自分自身とリンクさせて書けたらな、と思いました。

――では、実際レコーディングされてみて、いかがでした?

とっても歌っていて気持ちがいい曲だな、って思いました。それこそ初披露したときとかも、なんか初披露だと思えないぐらいすごく体に馴染んでいて。やっぱり、この曲は6年間歌手人生をやってきたなかでの答えの曲だと思うんですよね。なので何も考えずとも、ステージに立って、あるいはレコーディングスタジオでこれを歌っているとものすごく満たされたような気持ちになるというか、「私、歌っててよかったな!」っていうような気持ちになるんです。だからこの曲は、今の自分にとってもこれからの自分にとっても、すごく大事な曲になるんだろうなぁって思うんですよね。