NTTドコモとNECは5月23日、第5世代移動通信方式(5G)において、4.5GHz帯の周波数を用いて、同一エリア内の2台の基地局間での基地局間協調ビームフォーミングによる複数移動局との5G無線通信を世界で初めて達成したと発表した。

  • 基地局間強調ビームフォーミングの概要

    基地局間強調ビームフォーミングの概要

同実験は、信号処理装置および多素子アンテナで構成される基地局2台の間で協調したビームフォーミングをデジタル信号処理により実現し、8台のユーザ(移動局)と同時通信する実験を5月9日~5月11日に神奈川県川崎市で実施。

5Gシステムは5G基地局装置が超多素子アンテナ(最大128素子)、最大16レイヤ多重、デジタルビームフォーミング機能、基地局間連携ビーム制御機能。5G移動局装置が2アンテナ最大2ストリームのMIMO多重となる。

実験では、2カ所に配置した基地局が互いに協調しビーム制御を行う、基地局間協調ビームフォーミングの検証を実施し、複数カ所に設置したアンテナは位置によっては大きな干渉が発生し通信速度が劣化するが、デジタル信号処理により互いの干渉を打ち消し合うビーム制御を実装した。

  • 基地局間強調ビームフォーミング検証時のシステム構成

    基地局間強調ビームフォーミング検証時のシステム構成

合計128素子のアンテナと信号処理装置とを光ファイバーで接続した光張り出し構成の小型基地局によるビームフォーミングを活用し、8台の移動局合計で5.5Gbpsの無線通信を達成したという。

  • 伝送実験結果

    伝送実験結果

ドコモが実験全体の企画推進、5G実験装置に関する仕様策定やパラメータ設計、5G実験装置を提供し、NECは5G実験装置の開発、基地局間連携ビームフォーミングに関する装置仕様策定、実験環境を提供した。

このビーム制御により、柔軟に複数のアンテナを設置できるため都市部のような人口密集環境においても大容量通信の実現が期待できるほか、実験によりドコモとNECが共同で受託した総務省受託研究である電波資源拡大のための研究開発「第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発~高周波数帯・広帯域超多素子アンテナによる高速・低消費電力無線アクセス技術の研究開発~」における目標値を達成したという。