BASFは、検証済みの技術を組み合わせて新たなものを生み出すクリエーションセンターを、ルートヴィッヒスハーフェンに開設すると発表した。3月に建設工事を開始しており、外郭構造は2018年秋に完成、オープンは2019年半ばが予定されている。

  • かつての防空シェルターを活用したクリエーションセンター(完成イメージ)。

    かつての防空シェルターを活用したクリエーションセンター(完成イメージ)。建物の一部にはステアタワー及びエレベーターでアクセスすることになる。ファサードは、ネットワーク構築のコンセプトと、プラスチック材料の世界を反映させたものとなる。

クリエーションセンターは、「実在する材料と最新デジタル技術の融合」をコンセプトとして、同社パフォーマンスマテリアルズ事業本部が製品ソリューションの開発におけるトップクラスの専門知識を一カ所に集結させる拠点となる。最新の視覚化技術を活用して、アイデアを理想的なソリューションへと迅速に変換できるようになるという。同センター開設に向け、BASFは同社のサイト内にあるかつての防空シェルターの拡張を進めており、他の拠点、東京、上海、ワイアンドット(米国)でもクリエーションセンターの開設を予定しているということだ。

また、同センターでは、顧客・市場・将来の動向に重点を置いている。BASFは既に、同社のデザイナーと顧客が協力し、材料サンプルを使って新製品を開発することができる施設「designfabrik(デザインファブリーク)」を開設しているが、その機能は同センターに移転される予定となっている。なお、今回のコンセプトには、BASFが開発し、ソリューションの仮想開発に長年使用されているシミュレーションテクノロジーであるUltrasim(ウルトラシム)も含まれているという。総合的なコンピュータ支援法と、最先端のアート視覚化テクノロジーおよび3Dプリンタで出力したサンプルコンポーネントを組み合わせることで、顧客との連携において新たな次元を切り開くということだ。

同センター開設に際し、BASFのシミュレーションの専門家たちは、スタートアップと企業をつなぐイノベーションプラットフォーム、「STARTUP AUTOBAHN プロジェクト」をきっかけとしてHolo-Light社と協力。シミュレーションの結果をホログラフィックオーバーレイとして三次元的に表示できるアプリケーションの開発を行っている。同アプリの開発により、建物の部位や周りの家具などのインタラクティブな3D映像を表示させるのに、MR(ミクストリアリティ)の眼鏡を使用することで、複雑な形状の把握や材料特性の特定が容易になるということだ。