皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、現在第1子を妊娠中の30代女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◆このまま家計をやっていけるか不安です
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、現在第1子を妊娠中の30代女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料になります)。
https://sec.allabout.co.jp/post-form/form/22

◇相談者
ぴぃちゃんさん(仮名)
女性/会社員/33歳
東京都/賃貸住宅

◇家族構成
夫(会社員/35歳)

◇相談内容
現在、第一子を妊娠中です。数年前に老後の生活を視野に入れた上で加入した保険を見直すべきか悩んでいます。個人型の確定拠出年金にも興味がありますが、現状のまま保険を継続する場合と比較して、どちらがお得なのかわかりません。また、出産後は子供の学資保険への加入なども検討したほうがいいのでしょうか。基本的には、夫の収入で生活し、妻の収入は全額貯金するようにしていますが、保険料が家計を圧迫しているような気もして心配です。

なお、雑費が多めだと思いますが、日用品、被服美容費、医療費の他に夫婦の住民税と主人が結婚前に滞納していた年金の分割払が含まれています。主人は過去に義兄の借金の肩がわりや義母への援助などで実家へ毎月20万程仕送りしており(現在は完済)、住民税や年金を未納にしていた為、その分は結婚後に私が整理し、毎月分割で支払ってきました(こちらも完済)。それから、二~三年後にはもう一人子供が欲しいと思っており、可能であれば、将来的にはマイホーム購入も希望しています。

しかしながら、今後また親(義母)への援助が必要になる可能性もある為、このままの家計状況でやっていけるのか不安です。また、現在は貯金を全額普通預金に入れているのですが、定期預金や投資に切り替えたほうがいいのでしょうか。その他、家計の支出の中で無駄な部分などがあれば、アドバイスいただければと思っています。

◇家計収支データ
「ぴぃちゃん」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)妻の今後の予定について
現在は産休入り。育休取得後に、職場復帰を予定。

(2)趣味娯楽費について
同費目に含まれる帰省費/30万円、旅費/10万円(ともに年間)

(3)加入保険の保険料の内訳について
1 夫/低解約返戻金型終身保険(60歳払込終了、死亡保障450万円)=保険料1万8円
2 夫/低解約返戻金型終身保険(60歳払込終了、死亡保障450万円)=保険料9517円
3 夫/医療保険(終身保障、60歳払込終了、入院5000円、がん特約他)=保険6098円
4 妻/低解約返戻金型終身保険(60歳払込終了、死亡保障400万円)=保険7512円
5 妻/低解約返戻金型終身保険(60歳払込終了、死亡保障400万円)=保険7864円
6 妻/医療保険 (名終身保障、60歳払込終了、入院5000円、がん特約他)=保険料4700円

(4)義母への援助について
親へ金銭的な援助が必要になる可能性がある。現在は仕事をしているため、収入がありますが働けなくなった場合、本人の年金だけでは生活できない状況のため。今のところは元気ですが60代なので、仕事をすること自体、体力的にそろそろ限界なのではと考えている。

(5)マイホームについて
希望は新築一戸建。物件価格は無理をせず購入できる範囲でと思っているが、それがどの程度かを知りたい。

◇FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 児童手当+1万円が無理のない教育資金づくり
アドバイス2 40歳購入で物件価格は3500万円が上限
アドバイス3 親族への経済的支援は今後はしない

◆アドバイス1 児童手当+1万円が無理のない教育資金づくり
第2子の出産とマイホームを購入することを前提として、ご家族の今後のマネープランを考えてみましょう。最初に教育費から。ご主人が60歳になるまであと25年。現在の貯蓄ペースは毎月13万円ですが、奥様が職場復帰されると、その収入は育休時の今よりアップするはず。第2子を出産されると、再び貯蓄ペースは落ちますが、お子さんにかかる費用を考慮しなければ、少なく見ても平均して年間200万円の貯蓄が可能でしょう。25年間継続できれば5000万円となります。

このうち、教育費(保育園または幼稚園から大学卒業まで)を含めた子育てにかかる一切の費用を1人1250万円とすると、2人で2500万円。これを差し引くことで、計算上はお子さん2人にかかる資金は確保できました。残り2500万円に手持ち資金を加えた約3000万円が、住宅資金と老後資金というわけです。

その教育費について「学資保険を利用すべきかどうか」とありますが、「貯めることができる」世帯ですから、保険を利用しても、定期預金で積み立てても構いません。学資保険を利用する場合は、元本割れをしない商品を選ぶことと、高校は公立としても17歳満期がいいでしょう。貯め方としては、児童手当は全額貯蓄に回す。そして、それとは別に1人月1万円を積み立てる。これで18歳のときに400万円が貯まりますので、私立文系の大学費用(平均390万円)は確保できます。

◆アドバイス2 40歳購入で物件価格は3500万円が上限
次に住宅資金ですが、ご主人40歳のときにマイホームを購入するとします。その間、産休~育休が2回あるわけですが、その間も10万円前後は貯蓄できるとすると(育休を1年程度に想定)、今後5年間で800万円程度貯蓄できる計算になります。

したがって今ある貯蓄と合算すれば、手元にある資金は1270万円。このうち、住宅資金として1000万円を差し引きます。ご夫婦とも会社員ですから、多めに取っても大丈夫でしょう。ただし、諸費用(住宅購入やローン契約に関わる税金や手数料等、さらに引っ越し、家電や家具の購入費用)を200万円とすると、実際に頭金に充てられるのは800万円となります。

さて問題の物件価格ですが、無理なく毎月返済できる金額から逆算していくことが基本です。まず、住宅にはランニングコストが発生します。固定資産税に、フラット35を利用すれば団体信用生命保険料(民間の金融機関は一般にローンに含まれています)。また、一戸建てはマンションのように管理費や修繕費は徴収されませんが、自前で将来の修繕費用を積み立てておく必要があります。それらコストを合計して、月3万円としましょう。

これにローンの返済額を加えて、返済が可能かどうかですが、完済年齢は最長でもご主人65歳としたいところ。したがって、借入期間は25年。借入額を2700万円、全期間固定、金利1.5%とすると、毎月の返済額は10万8000円。これに先のランニングコストを加算すると、住宅コストは約14万円。現在の家賃と駐車場代の計9万円が住宅購入と同時になくなりますので、実質の家計負担はプラス5万円と考えられます。

先の試算で、ご主人60歳のときに3000万円あるとすれば、そこから住宅資金の1000万円、毎月のローン5万円の20年分で1200万円ですから、まだ800万円余ります。計算上、無理はありません。しかし、まだ5年ローンの返済が続くことと、老後資金も考慮すると、別途、退職金が入るとしても、これ以上、物件価格を上げるのはマネープラン的にはきびしいかもしれません。したがって、頭金800万円に借入2700万円ですから、物件価格は3500万円をまずは上限としていいでしょう。

◆アドバイス3 親族への経済的支援は今後はしない
上記試算のベースとなっているのは現在の家計です。したがって、さらに見直して、貯蓄ペースを上げれば、資金的には当然もっと余裕が生まれます。手の届く物件価格の上限を引き上げることもでき、また教育費の負担が増えたとしても安心できるはずです。仮に使わなければご夫婦の老後資金に回せばよいだけですので、貯蓄ペースを上げることは頑張りましょう。目立つところでは、奥様も指摘されている雑費。出産を機に、いろいろ見直してみてください。細かく支出を見ていけば、現状13万円貯蓄とありますが、15万円も十分可能だと思います。

保険については、ご主人と奥様で低解約型終身保険に2本ずつ入られています。教育資金、あるいは老後資金づくりとして加入されているとしても、保険に偏っている気がします。少なくとも、ご主人か奥様どちらか貯蓄性の低い方の保険は払い済みにしてもいいと思います。ともに貯蓄性がさほど高くなければ、両方とも払済保険でも構いません。ご主人の方だけでも、年間24万円の保険料が浮きますので、これを貯蓄に回してください。

ただ、どちらにしても、ご主人の死亡保障は不足気味です。終身を2本払い済みにした場合、新たに死亡保障として2000万円は欲しいところ。定期保険で、保険期間に20年とすると保険料は4000円台半ば。それでも、保険料コストは年間18万円下げて、必要な保障を確保できます。

貯蓄については、基本は元本保証の商品で貯めていきましょう。普通預金より、多少でも金利の高い定期預金にすべき。一方、しばらくリスクは取れませんので、投資はできません。確定拠出年金もまだ早いと考えてください。時間軸で考えれば、教育資金と住宅資金老が老後資金より優先するからです。

最後に気になる点をもうひとつ。これまで親族にされてきた経済的援助です。諸事情はわかりませんが、断わる、あるいは見て見ぬふりはできず、手を差し伸べてられたのだと思います。それ自体、大変立派なことですが、今後は今までのようにはできないと考えてください。

これまで支援したわけですから、今後また頼まれる可能性は否定できません。そのとき、しっかり断わる強い気持ちが必要です。将来、義母をまた支援するかもしれないとのことですが、よほどの状況でない限り金銭的なものはすべきではないと考えます。今後は親や兄弟より、自分のお子さんを優先して守らなければいけない立場です。手元にある資金は、お子さんを育て、家族がいきるために大切なお金なのです。心情的には辛いかもしれませんが、ある程度割り切ることが求められるのです。

教えてくれたのは……深野 康彦さん  

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武

文=あるじゃん 編集部