早期発見ができれば、開腹手術ではなく内視鏡手術で完治が目指せる場合もあります。

◆食欲不振・体重減少・みぞおちの痛み
私たち医師が、診察室で患者さんと話をしていて、「おや?」と気になるのは、食欲不振・体重減少・みぞおちの痛みの3つの症状です。

食欲不振とは、まさに、食欲がない状態のこと。定期的におなかがすいて、ご飯を食べて「おいしい!」と思うサイクルが淡々と回っていることを、普段私たちは気にしませんが、非常に重要なことです。

また、食欲不振が続くと、体重も当然減ってきます。「寝食を忘れる」という表現もあるように、食欲や食べると言うことについては、主観的な部分もあるので、食欲の減退があまり気にならない方もいらっしゃいます。

しかし、体重は、客観的な数字となって現れます。特にダイエットをしたり運動をしたりしたわけでもないのに、半年で10~15%の体重減少があるようならば、要注意です。

暑い時期には、誰しも食欲が落ち、体重も減少しやすくなりますが、それ以外の可能性があるということも、頭の片隅に置いておいてください。

そして、みぞおちの痛みや胃のもたれといった症状も、非常に一般的に見られるものですが、長期にわたって続く、市販の胃薬が効かないということも、要注意信号だと思います。

◆貧血と黒色便
胃がんでは、うじうじと出血が続くことがあります。そんな時には、貧血が出てくることがあります。貧血の症状は、もちろん、ふらつく、立ち上がったときなどに目の前がさーっと白くなるといったこともありますが、意外に多いのが、全身倦怠感と動悸・息切れです。

貧血は採血検査で簡単に調べることができますので、気になった時には医師の診察を受けるようにしてください。

また、胃から出血していると、十二指腸、小腸、大腸と通って出てくる間に血中のヘモグロビンに含まれる鉄分が酸化されるため、大便が真っ黒になって出てきます。

もちろん、食事の内容によっても便の色調は変化しますが、タールのような真っ黒の便に気がついたときには、医師の診察をお受けになることをおすすめします。

◆特に胃がんに気をつけるべき方
胃がんは罹患率の高い疾患ですが、やはり、なりやすい方もいらっしゃいます。

食生活の面では、刺激物や濃い味付けのもの、塩辛いものが好きな場合は注意が必要。がんは遺伝病ではありませんが、同じ味付けや生活習慣、食習慣を引き継ぐため、身内に胃がんの既往がある方がいる場合にも注意が必要です。

また、タバコや過度の飲酒は胃がんのリスクもあげますので、喫煙者や大酒家の方は、特に注意してください。

気になる症状や思い当たる節がある方は、是非、お近くの医師の診察を受けてくださいね。もちろん、年に1回のがん検診もお忘れなく。

文=狭間 研至