私たちは家や学校、その他いろいろな施設で電気を使用しています。家電製品や照明、インターネットも電気の設備が整っているからこそ利用できるのです。今回は、建物内における電気設備の配線、設置の工事を行う「電気工事士」の仕事について、株式会社TKテクノサービスの金井純さんに聞いてみました。

■人目につきにくくても、ものづくりで貢献できる喜びがある

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
 
電気工事士は、ビルなどの建物に必要な監視・制御、照明、情報通信、防災といった設備の施工、改修、保守を行います。先日行った現場では、点検のため建物を全館停電させ、キュービクル(*)や分電盤の更新を行いました。オフィスビルでは人が少ない休日に工事を実施することが多いので、土日は直接現場に出向いて作業を行い、平日は本社で施工管理(工事図面や書類の作成など)をしています。

<一日のスケジュール>
8:00 朝礼
8:30 現地KY(工事現場に潜む危険を予測し、事前に作業員同士で内容を共有し事故防止に努める活動)
9:00 工事作業開始
12:00 昼食
13:00 工事作業再開
15:00 休憩
15:30 工事作業再開
    翌日の作業内容打ち合わせ
19:30 終了。自宅へ直帰

*キュービクル:変電所から送られてくる高圧の電気を、各建物で使用する小さい電圧に変換する設備。ビルの屋上などに据え付けられていることが多い

 
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
 
電気工事で携わった建物が完成したときに達成感を感じます。この仕事は人目につく仕事ではないかもしれませんが、建物として形に残ります。私は電気工事士の仕事は「ものづくり」だと思っていますので、それをモチベーションに頑張っています。
 
 
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
 
現場作業は自宅から直行することが多いのですが、現場が遠い場合早起きしなくてはいけないところです。7時半に作業開始の現場があるときは、毎朝4時に起床していました。納期が迫ってくると夜遅くまで残業することもありますので、時間の調整は難しくなります。

■高校在学中に国家資格の取得を目指す

Q4. どのようなきっかけ・経緯で電気工事士の仕事に就きましたか?
 
工業高校に進学したのですが、学校の課外活動で住宅の建築現場を見学する機会がありました。そこで楽しそうに働いている各職人の姿を見て、私も将来ものづくりの道に進みたいと思うようになりました。実際に建物を作るわけではありませんが、電気設備の側面からビルの完成に貢献できるのでこの仕事を選びました。
 
 
Q5. 高校では何を学びましたか?
 
高校は4年制で、一般の高校と同じように数学、英語といった科目の他、電子や機械の授業がありました。私が通っていた学校では、在学中に国家資格である「電気工事士」の資格取得を視野に入れたカリキュラムが組まれていました。

電気工事士の資格の中でも「第二種電気工事士」の取得は必須で、無事合格できれば次の「第一種電気工事士」を目指す流れです。どちらの試験も実技・筆記両方あるのですが、第一種電気工事士の資格取得は結構ハードルが高く、第二種と比べて覚える内容がはるかに増えるので、学校の授業だけでなく自習をしないと追いつけず、かなり大変でした。私は無事在学中に第一種電気工事士を取得できましたが、クラス16名中、卒業までに取得できたのは3名ほどでした。
 
 
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
 
小さい頃から絵を描くことが好きで、将来はデザイナーになりたいと思っていました。こうした興味を持ち続けていたからこそ、ものづくりの道へ進めたのではないかと思っています。また、現在の夢というか希望ですが、将来私自身が家を建てるときに、電気関係の図面作成と工事配線を全て自分の手でやってみたいという思いがあります。
 

■年代、性別を超えたチームで現場作業に従事

Q7. どういう人が電気工事士の仕事に向いていると思いますか?
 
やはりものづくりが好きな人、そして何事も前向きに考えられる人が向いていると思います。あと現場作業はチームを組んで行うため協調性も大事です。私はまだ21歳ですが、幅広い年代の人が携わるこの仕事では、自分の親と同じくらいの年齢の人と肩を並べて働くことも考えられます。

現在、電気工事士の高齢化と人材が不足していると上司から聞きました。2020年を控え、建設工事の需要が一時的に増えていることも理由にあると思います。

そのため、従来は「電気工事士=男性の仕事」というイメージが強かったかもしれないですが、私の会社では性別を問わず募集の窓口を広げているようです。同時に資格取得や技術力向上を目的とする研修センターの開設や、インターンシップで高校生を受け入れる活動も始めています。業界として電気工事士の育成に力を入れていることもあり、これからは女性も含め、幅広い世代の人が活躍できる仕事になると思います。
 
 
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
 
仕事を始めてからは学ぶ時間の確保がとても難しくなるので、できるだけ高校生の頃から勉強をしておいたほうがよいと思います。電気工事士は資格の有無が非常に重要で、無資格では現場の設備に触ることが禁じられています。厳しい現場では、事前に作業員の資格証明書の提出を求められるところもあるくらいです。工業高校に通っている人は、在学中の資格取得を絶対目標にしてください。転職や普通高校から就職した場合でも、就職した会社が資格取得のための研修に力を入れているところが多いので、大変かもしれませんが仕事と両立しながら資格を取れるように頑張ってほしいと思います。
 

生活に必要不可欠な電気を取り扱う仕事だけに、正確な知識と徹底した安全への配慮が電気工事士には求められます。資格取得者でないと現場作業ができないこともうなずけます。社会を形成する基盤がどんどん発達していく世の中で、今後も電気工事士の需要が増えてくるはずです。高校生の頃から知識を蓄え、人々の快適で便利な生活を支える電気工事を目指してみてはいかがでしょうか?
 
 
【profile】株式会社TKテクノサービス 工事管理部電気工事課 金井 純
http://www.tktechno.co.jp/
【取材協力】東光電気工事株式会社