皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、オーバーワークの職場で体調を崩し、転職。結果、年収にしても50万円の減収となり、貯蓄ペースが落ちてしまったことに不安を感じている25歳の会社員女性。保険や投資で備えた方がいいかなど、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◆一人で生きていくためには、保険や投資で備えた方がいいですか?
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、オーバーワークの職場で体調を崩し、転職。結果、年収にしても50万円の減収となり、貯蓄ペースが落ちてしまったことに不安を感じている25歳の会社員女性。保険や投資で備えた方がいいかなど、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料になります)。
https://sec.allabout.co.jp/post-form/form/22

◇相談者
将来が不安さん(仮名)
女性/会社員/25歳
東京都/賃貸住宅

◇家族構成
一人暮らし

■相談内容
昨年、転職を2回しました。残業時間がとても多く、なかなか休みが取れず体調を崩すことが多かったですが、現在は残業もほぼなく、休みが増えたので年収は50万円ほど減りましたが結果的には良かったです。一人暮らしで無職の期間もあったため社会人3年目ですが貯金が全くありません。不景気ですし将来的に、結婚せず、一人で生きていくと思いますので、将来がとても不安です。何かアドバイスがいただけたら幸いです。貯金とともにつみたてNISAで毎月1500円ですが投資信託も始めました。貯蓄額が少ないので投資はまだ早いでしょうか?

◇家計収支データ
「将来が不安」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)加入保険の内訳
・本人/共済1(病気死亡100万円、入院5000円・女性疾病8000円、先進医療特約)=保険料2100円
・本人/共済2(病気死亡300万円、がん診断給付金100万円、がん入院1万円、通院5000円、他に手術一時金)=保険料1000円

(2)新たな保険加入について
まだ若く健康なので、保険より貯金と思って保険は最低限にしている。ただし、医療をもう少し手厚くできるものがあれば検討したいのと、所得補償の保険に加入すべきか悩んでいる。

(3)楽しみと節約について
相談者コメント「映画や舞台を見ることが趣味なので、毎月趣味娯楽費の中の5000円を使っています。残り3000円は洋服代です。もう少し映画や舞台にお金を使いたいなと思うこともあるのですが、収入を考えると、ちょっと贅沢かなあと思ってしまいます。でも本当はもう少し金額をあげたいので、他に削れるところがあったら教えていただきたいと思います。また食費2万円の中の5000円は交際費にして、友達とご飯に行くことにしています。一人暮らしで基本的には3食自炊(お弁当を作って持っていく)しているのに、それで食費1万5000円はちょっと高いかなとも思うのですが、健康のためなるべく野菜を食べたいのでこのようになっています。また雑費の毎月9000円は特別費として貯金をしており、年一回の旅行やふるさと納税のために使っており、それも楽しみの一つかなと思います」

◇FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 今の貯蓄ペースを維持することが重要
アドバイス2 保障よりも今は現金を増やしたい
アドバイス3 少額なら20代からのiDeCo利用も問題なし

◆アドバイス1 今の貯蓄ペースを維持することが重要
昨年の転職は大正解だったと思います。収入がダウンしても、前の職場がオーバーワークだったのですから、無理に続けて体を壊してしまってはそれこそ元も子もありません。しかも、減収したにもかかわらず、この貯蓄ペースを維持しているのは立派。毎月4万1500円と、ボーナスから10万円貯蓄に回せたとして、年間に約60万円。30年で1800万円、定年となる35年では2100万円となります。

もちろん、計算どおりに貯まる確証はありません。しかし、これだけ貯められる可能性が「ある」と「ない」では大きな違いです。退職金制度が現在の勤務先にあるかどうかは不明ですが、現在の生活費と厚生年金に加入していることを考慮すれば、老後資金で大きく困ることはないはず。少なくとも、マネープラン的にはご相談にあるような悲観する将来では決してありません。

したがって、現状では貯蓄ペースを維持していくことが、もっとも大事だということになります。高収入でなくても、あるいは今後大きな収入アップが望めないとしても、長く継続して貯めることで、その部分はカバーすることができるのです。

家計管理は無駄がなく、とてもバランスがいいと思います。しかも、十分に節約しなから、工夫をして自分の「楽しみ」のための予算も確保している。それを「贅沢」と感じることもあるようですが、決してそんなことはありません。生活に楽しむ部分、あるいは 家計にメリハリがなければ、貯蓄は続かないのです。今までどおり、上手に管理してください。また、食費もこれ以上は削らないこと。体が資本です。

◆アドバイス2 保障よりも今は現金を増やしたい
保険ですが、保障は意識して最小限に抑えてはいるが、医療保障をもう少し厚めにとも考えているとのこと。大丈夫、これで十分です。健康保険に加入していますから、高額療養費制度が利用できます。だふん、理解されていると思いますが、保険ですべてをまかなうという発想には無理があります。心配にはキリがないからです。不足分は貯蓄から出すというスタンスで、保険は考えてください。

所得補償保険については、確かに病気やケガで収入が途絶えることがあれば、それは大きなリスクです。不安に思う気持ちも理解できます。しかし、会社員であれば傷病手当金によってある程度(標準報酬月額の2/3を最長1年6カ月)はカバーできます。新たな保険料負担や現在の貯蓄額を考えると、新たに保険には加入せずに貯蓄を優先させる=現金を増やすべきだと思います。

◆アドバイス3 少額なら20代からのiDeCo利用も問題なし
また、iDeCoは、掛け金は原則60歳以降でないと引き出せない、老後資金づくりに特化した制度です。その意味では25歳のご相談者にはまだ早いのですが、掛け金が1500円と小さいのと、節税のメリットがある(掛け金が全額、所得控除になる)という点で、このまま継続していいでしょう。

また、今はさほどリスクは取れませんが、将来のために資産を増やすこともいずれ必要になってきます。したがって、貯蓄が500万円を超えたら、投資額を増額するということも検討していいのでは。加えて、iDeCoには口座管理等のコストが発生します。金融機関によって額が異なりますから、もしも割高であれば利用する金融機関を変更することも検討してみてください。

◆相談者「将来が不安」さんから寄せられた感想
相談させて頂くまでいろんなことが不安でしたが、自分自身がおもっているほど悲観的にならなくてもよいと言っていただけて少し安心しました。家計管理や保険についても教えていただいて良かったです。また、iDeCoについても始めようか悩んでいたところでしたのでとても参考になりました。もう少し貯金額が増えてから始めようと思います。ありがとうございました。こつこつマイペースにがんばります!

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武

文=あるじゃん 編集部