ソフトバンクの2018年夏モデルに、ファーウェイのスマホ2機種が加わった。SIMフリー市場を席巻しつつあるファーウェイが、キャリア市場でも存在感を高めている。

  • 2017年10月発表の「Mate 10 Pro」をソフトバンクが発売する

2機種とも、国内ではSIMフリーとして販売されており、目新しさははない。果たして大手キャリアが取り扱うことには、どのような意味があるのだろうか。

大手キャリアの割引と販売網に絶大な魅力

日本のSIMフリースマートフォン市場においてNo.1シェアを誇るファーウェイだが、国内のデバイス事業は大手キャリア向けに製造するタブレットやモバイルWi-Fiルーター製品のほうが、規模が大きいという。

SIMフリー市場でも「HUAWEI P10 lite」などのヒット商品は出ているが、スマホ市場の大部分は依然として大手キャリアが支配しており、SIMフリーは1〜2割にとどまっているのが現状だ。

だが、最近ではスマホについても、大手キャリアによる採用が相次いでいる。auの春モデルには「nova 2」、ソフトバンクの夏モデルには「Mate 10 Pro」と「nova lite 2」が加わり、ドコモについても期待が高まっている。

  • ソフトバンク版「HUAWEI Mate 10 Pro」(写真提供:ソフトバンク)

SIMフリーとの違いとして、注目したいのは価格だ。他キャリアからソフトバンクに乗り換えるMNPの場合、Mate 10 Proには毎月3800円の割引が適用され、2年契約時の実質負担は月額680円になるという。

大手キャリアはMVNOより通信料金が高いとはいえ、毎月3800円もの割引があれば大きな差はなくなる。同程度の金額を支払うならば、通信速度が速くサービスも充実した大手キャリアを選ぶ人が多いだろう。

ファーウェイにとってのメリットは、ブランドイメージが高まり利幅も大きいハイエンド機種を売りやすくなることだ。これまでSIMフリーで売れるのは、3万円前後のミドルレンジ機種が中心だった。販売チャネルも限られており、ハイエンド機種をSIMフリーで売るのは困難な状況にあったといえる。

だが、大手キャリアによる割引と全国に広がる販売網があれば、売れ行きは確実に桁が違ってくる。グローバルで人気のハイエンド機種を持ち込み、日本で人気のiPhoneやXperiaと「同じ土俵」で戦えるというわけだ。