Amazonプライム・ビデオにて配信中の連続ドラマ『仮面ライダーアマゾンズ』(Season1、Season2)の完結編にして初の劇場用新作映画『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』(監督:石田秀範)が、2018年5月19日より全国劇場にてロードショー公開される。

大手製薬会社の実験で生み出された人工生命体「アマゾン」と人間との対立が決定的となったSeason1の結末から5年。自らも「アマゾン」である少年・千翼(演:前嶋曜)=仮面ライダーアマゾンネオは、不良集団チームX(キス)のメンバーとして、"アマゾン狩り"を行う日々を送っていた。一方で、「アマゾン」としての食人衝動に苛まれていた千翼は、ある時不思議な少女・イユ(演:白本彩奈)と出会う。触れても食人衝動に襲われることのないイユに対して、千翼は特別な感情を抱くようになっていく。

  • 左から前嶋曜、白本彩奈 撮影:大塚素久(SYASYA)

Season1の主人公である水澤悠(演:藤田富)=アマゾンオメガや「駆除班」の面々、Season2において、生き残った「アマゾン」と、新たに出現した「新種アマゾン」を殲滅するべく活動する特務機関「4C」、さらには自分を含めた「アマゾン」を滅ぼすことにこだわる鷹山仁(演:谷口賢志)=アマゾンアルファの出現により、物語は衝撃の展開を迎えていく。

いよいよ5月19日に迫った『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』の公開だが、"完結編"に至る物語を語る上で、千翼とイユの存在は欠かすことができない。5月12日からは、『仮面ライダーアマゾンズ』Season2を再編集した『劇場版 仮面ライダーアマゾンズ Season2 輪廻』が劇場公開され、2人の活躍をスクリーンで見ることができる。

ここでは、Season2で主人公・千翼を演じた前嶋曜と、ヒロイン・イユ役の白本彩奈にインタビューを実施。『最後ノ審判』へと至るストーリーの中で重要な役を演じ、見る者にも強烈な印象を残した2人に、作品の魅力や、今だからこそ明かせる撮影秘話を思う存分語ってもらった。

――本日(4月16日)は『劇場版 仮面ライダーアマゾンズSeason1 覚醒』『Season2 輪廻』一挙上映イベントですが、『アマゾンズ』のスタッフさん、キャストさんと会われるのは久しぶりですよね。

白本:久しぶり……なんですけれど、帰ってきたなという思いが強いです。

――前嶋さんは当時からまたグッと大人っぽくなられましたね。

前嶋:ホントですか!? ありがとうございます(笑)。

――振り返ってみて、当時の撮影の現場はどのような雰囲気だったのでしょう。

白本:カメラが回ってないところでは和気あいあいとしていて、本当に『アマゾンズ』の現場とは思えないような感じでした。

前嶋:僕は『アマゾンズ』が初仕事だったんです。だから現場でもとにかくどう演技をしよう……ということが中心になって、考えることが多くて精神的にまいってしまっていました。当時を振り返ると、本当に余裕がなかったですね。

――それでは今だからこそ、冷静に振り返ってみて見えてくることもありますよね。

前嶋:そうですね。余裕がありませんでしたけど、でも今までで一番充実していました。

――千翼は衝動との葛藤や孤独、ほのかな恋心など、さまざまな感情を内に抱えており、しかも内面的には未熟でなければならない。逆にイユは感情がない。お二人とも難しい役どころでしたが、演じるにあたって特に苦戦したところはどこだったのでしょう。

前嶋:ほぼ全部……ですね(笑)。

白本:『アマゾンズ』の役柄って、本来の自分にあてはめて考えることができない、照らし合わせることができないんです。本当にその状況にいたら……と一応考えてはみるんですけど、「いや、ありえない!」ってなってしまう。お父さんに食べられる……なんて現実にはあり得ないことですし、想像がつかないぶん、想像力を働かせることが大事でした。そういった意味で、ちょっとほかの作品とは違う役との向き合い方ではあったなと思います。

――共演シーンが多いお二人でしたが、特に思い出深い場面はどんなところでしょう。

前嶋:2、3話でイユと遊園地でデートするシーンがあるんですけど、あそこは"すごく楽しんでる千翼"を見せなきゃいけない場面でした。でも千翼というより自分自身の素が出たようになってしまったところもあって、苦戦しました。

白本:あのシーンはイユが少しずつ千翼の方を向き始めるところだったので、イユ的には大きく動いたシーンです。

前嶋:喜びと悲しみ。アマゾンである自分の感情が一気に出ていたので、心が間に合わないんです。現場では、そうしたことを一つ一つ考えていく時間がなかったですね。

――そんな現場では、監督とどんなやりとりをされていましたか。

前嶋:みんな石田(秀範)監督は怖いという印象があると思うんですけど、僕は優しいと感じていました。

白本:石田監督は千翼に対しても曜くんに対してもお母さんみたいな優しさで、田崎(竜太)監督はお父さんのように、背中を押しているという印象がありました。私の場合は、石田監督とは役についての話をすることはあまりなく、好きなようにやって、という感じでした。たぶん監督は自由にやることを求めていたのだと思います。逆に田崎監督は、「このシーンって、イユはどう思っていると思う?」という感じで相談しながら一緒に役を作り上げていくというやり方だったので、その差はすごく楽しかったです。大幅な変化はないんですけれど、監督が違う回によっては「あ、ここは監督さんによって違うな」と思うシーンだったりセリフがあったので、そこは視聴者の方にも楽しんでいただけるポイントかなと思います。

――イユもすごく難しい役どころですよね。

白本:そうですね。感情の波が大きくて、振出しに戻ったり変化したりということの繰り返しだったので、自分でも台本を読んでムシャクシャするというか、「またか~」とはなることもありました。でも演じるにあたっては、普段は自分自身が明るいほうなので、ちょうどいい振り子になっていてやりやすかったです。

――前嶋さんは、千翼から見たイユはどんな存在だと思って演じられていましたか。

前嶋:千翼にとってイユはなくてはならない存在なんです。イユがいなければ自分の存在する価値がないと思うような、それほどに大切な存在ですね。

――では今度は前嶋さんから見た白本さんは?

前嶋:まったく逆なんですよ、ビックリするくらい(笑)。

白本:そうだね(笑)。でも私が本当にイユみたいな雰囲気だったらもっと大変だったと思います。

――実際に配信がスタートして、まわりの反応はいかがでしたか。

前嶋:反響はすごく大きかったですね。初仕事でもあったので、声をかけていただいたのも初めてでしたし。そういえば、渋谷で海外の方から「チヒロ?」って声をかけられたんですよ。いろんなところで『アマゾンズ』のことを知っていただいていて、うれしかったですね。

白本:私は学校の子とかでも見てくれている人がたくさんいました。先生たちの中には、私がきっかけで見始めたけど、「やっぱりSeason1から見る!」ってすごく熱中して見てくださるような方もたくさんいました。でも街では、雰囲気が違いすぎて私ってわからないんですよ(笑)。イユってことになかなか気付いてもらえない。

――イユって、白本さんから見てどんなヒロインでしたか。

白本:すごく愛着がわく役柄でした。「えっ!?」て思われるかもしれないけど、今までやってきた中でも1、2番くらいに。あんなに不安定な役だからこそ、家に帰ってもよく考えることがあって、ずっと向き合っていないといけない役でした。だから、いざ撮影が終わって考えることもなくなると、「いないな~」って、ちょっと寂しくなりました。

――『Season2』のラスト、あの結末を迎えてどういう感想を持たれましたか。

前嶋:『死んじゃうの!?』と思いました。僕の中では千翼はまだ生きてると思っているんですけど、でも一方で、あの終わり方しかないよなとも思います。

白本:でもさ、周りから「死んだじゃん」とか言われると、ちょっとムカつかない? 「いや、死んでないから!」って。『アマゾンズ』は死ぬとかじゃなくて、私たちの中では生きてるもん。そんな感覚だから、「死んだじゃん」って言われると「死んでないから!」って思っちゃう。