半導体市場調査企業である米IC Insightsは、同社の年次調査レポート「McClean Report 2018」の4月度更新版にて、2017年のアナログ半導体(IC)の市場規模が、前年比10%増の545億ドルとなったと報じている。

売上高のトップ10ランキングだが、前年と比べてもその順位に変動はなかった。ただし、これら10社の同市場の売上高合計は前年比14%増の326億ドルで、全体に占める割合も前年から2ポイント増となる59%となった。また、上位10社のうち8社がアナログ市場全体の成長率を上回る成長を達成したという。

  • 2017年のアナログICメーカーランキングトップ10

    2017年のアナログICメーカーランキングトップ10 (企業名の後ろに*マークがある企業は、買収した企業の売上高も含む) (出所:IC Insights )

ランキングトップはTexas Instruments(TI)で、同社の2017年の同市場の売上高は前年比16%増の99億ドル。2位にはLinear Technologyなどを買収したAnalog Devices(ADI)が同14%増の43億1000万ドルでランクインしたが、1位と2位の差は前年よりも約9億ドルほど開いた。 IC Insightsによると、TIの2017年のアナログIC売上高は、同社の総IC売上高(130億ドル)の76%、半導体総売上高(139億ドル)の71%を占めるという。

多くの企業がアナログICの生産に200mm以下のウェハを用いているのが、TIは300mmウェハを使って量産しており、IC Insightsでは、これにより200mmウェハを使用する場合と比べて、パッケージ前段階のチップ当たりコストが4割ほど優れた結果を得ているとしている。

またNXP Semiconductorsは、トップ10社中、唯一のマイナス成長を記録した企業となった。この背景としては、スタンダードプロダクツ事業を中JAC Capitalと中Wise Road Capitalからなる中国投資家のコンソーシアムに売却したことがあげられる。この結果、NXPのスタンダードプロダクツ事業はNexperiaという新たな企業として再出発することとなった。

一方、トップ10社中、もっとも成長したのがON Semiconductorで、その成長率は同35%増。結果として、市場シェアも3%に到達した。同社は2016年も同16%増と高い成長率を示していたが、この背景には2016年9月に24億ドルで買収した米Fairchild Semiconductorの貢献があるという。

なお、日本からは、唯一、ルネサス エレクトロニクスが10位にランクインしているが、これはIntersilの買収によるところが大きいと見られる。