春のヘッドホン祭2018で1つのトレンドを形成したのが、「aptX HD」。これは、スマートフォン用SoCで知られるクアルコムが手がける高音質オーディオコーデックです。Android 8.0でオープンソース化され、急速に対応スマートフォンが増えており、その受け手となるヘッドホン・イヤホンも注目を集めています。この春、発売・発表された製品を対象に、aptX HD対応の4製品をピックアップしてみました。

オーディオテクニカ 「ATH-DSR5BT」

  • aptX HD対応のBluetoothワイヤレスイヤホン・ヘッドホン

    オーディオテクニカのaptX HD対応イヤホン「ATH-DSR5BT」

オーディオテクニカが誇る「ピュア・デジタル・ドライブ」搭載機の第2弾、ネックバンド型のインナーイヤーモデルです。第1弾は2016年冬に発表されたオーバーヘッド・密閉型ヘッドホン「ATH-DSR9BT」で、入り口から出口まで一貫してデジタル信号が保たれるという仕組みが話題を集めました。第2弾はそこに、新開発のD/Dコンバータチップ「AT1962」を搭載するなど改良が図られています。

  • aptX HD対応のBluetoothワイヤレスイヤホン・ヘッドホン

    ハウジング内部には2基のダイナミックドライバーが逆位相で動く「デュアルフェーズ・プッシュプル」が格納されています

一般的にBluetoothオーディオでは、PCやスマートフォンで符合化(エンコード)されたデジタル音声信号はオーディオ機器側で復号化(デコード)され、アナログ信号に変換されたあとアンプで増幅、振動板に伝えられ「音」になります。しかし、ピュア・デジタル・ドライブでは、デコードされたデジタル音声信号はオーディオプロセッサ「Dnote」へと直接伝えられ、デジタル信号の疎密をもとにボイスコイルが振動板を駆動します。音質低下につながるデジタル・アナログ変換が一度も行われないため、鮮度の高い音を楽しめるというわけです。

  • aptX HD対応のBluetoothワイヤレスイヤホン・ヘッドホン

    写真では色飛びしていますが、aptX HDで接続しているため紫色のLEDが点滅しています

aptX HDで接続したときの音ですが、Bluetoothイヤホンにありがちな「輪郭のにじみ」がほとんど感じられません。スネアの連打もギターのカッティングもキレよくまとまり、整然として見通しがいい印象です。向かい合わせに配置した2基のダイナミックドライバーが逆位相で動く「デュアルフェーズ・プッシュプル」の効果か、急峻なレスポンスを実感できます。

音質を最優先した製品ではありますが、ネックバンド型のため操作しやすく、必要なときパッと外して首もとにぶら下げておけるメリットもあります。どのコーデックで接続されているかインジケーターで確認できますから、コーデックによる聴き比べにも使えますね。

  • 発売日 : 3月16日
  • 重量 : 約63g
  • 対応コーデック : SBC、AAC、aptX、aptX HD
  • カラー : ブラック
  • 連続再生時間 : 最大8時間
  • ドライバー : プッシュプル・ダイナミック型(φ9.8mm・φ8.8mm)
  • ノイズキャンセリング機能 : なし
  • 推定市場価格 : 40,000円前後
  • 発売元 : オーディオテクニカ