米国のドナルド・トランプ大統領は、4月24日、初めての公式晩餐会を開いた。フランスのエマニュエル・マクロン大統領が米国を訪問しており、これにあわせて開かれた同会に、政財界の著名人に混じって、AppleのTim Cook CEOが招かれ、環境・政策・社会イニシアティブ担当副社長のLisa Jackson副社長とともに出席した。

参列したLisa Jackson氏の前職が、オバマ前政権の米国環境保護庁長官だったことを考えると、現在のトランプ政権が進める環境施策に対する「主張」が浮かび上がる。

  • 再生可能エネルギー100%化を達成

この会に先んじ、Appleは4月22日のアースデーに合わせて、気候変動や地球資源保護への取り組みを次々とアナウンス。4月9日に、世界中のAppleの拠点で使用する電力を100%再生可能エネルギーに転換したことを明らかにすると、21日には、9種類のiPhoneを自動で解体し、貴重な高品質資源を取り出せるようにする新型ロボット「Daisy」を披露、また新たなリサイクルプログラム「Apple GiveBack」を発表した。

件の再生可能エネルギー100%化のリリースに先立ち、Appleは米国環境保護庁に公開意見書を送付している。4月6日に明らかになった書類の中で、米国企業として初めて、「クリーンパワー計画」(CPP)撤廃に反対する意見を表明した。

CCPは、オバマ政権時代に策定された環境政策で、発電所からのCO2排出量を2030年までに、2005年比で32%削減を目指すとしている。つまり、Appleがこれまで投資してきた再生可能エネルギーへの転換を推し進めるものであったと言えよう。

しかし現在の環境保護庁のScott Pruitt長官は、2017年10月に、CCPの撤廃を提案し、これに代わる立法案を策定するための意見を公募していた。Appleはその公募に対し、撤廃の反対を表明した。現在環境保護庁は、CPPは大気浄化法に違反しており、同庁の権限を越えていると位置づけている。

AppleはCPPの撤廃で、環境分野での米国の競争力が低下することを懸念している。もちろん、同社やサプライヤーが進めてきた再生可能エネルギー転換への投資の先行き不安も併せてのことではあろうが。

Appleは再生可能エネルギー100%化達成とともに、世界中のサプライヤーのApple向け製造の再生可能エネルギー転換についてもアナウンスしており、現在23社が達成済みだ。ここには、日本のイビデンや太陽インキ製造も名を連ねているほか、Appleが創設した米国向け先端製造業ファンドから投資を受けたTrueDepthカメラの要素技術を持つFinisarも含まれていた。

AppleのCPP撤廃反対の声にはGoogleも加わり、シリコンバレー企業の環境分野での結束は再び強まりつつある。