トランプ大統領とTim Cook氏との会談の内容はすべてが明らかになっているわけではないが、報道やトランプ大統領のツイートなどから、貿易問題について話されたことが分かってきている。

CNBCは、Appleにとって中国は巨大市場であると同時にサプライチェーンを担う2つの意味での重要性を持つとした上で、米国国家経済会議のLarry Kudlow委員長は「Cook氏は減税を歓迎している。同氏とは有意義な時間を過ごした。中国での豊富な経験から、我々に対して非常に役立つ示唆を与えてくれた」というコメントを残した。

この「豊富な経験」が意味するところは、中国国内での製品製造やiPhoneの展開、これに関わる知財争い、iCloudのサーバを中国国内に設置し中国の法律に適用させて、欧米諸国から検閲幇助と批判されたことなどだろう。魅力ある中国市場だが、Appleを含む世界中の企業がその閉鎖性、特殊性に苦慮している。これは貿易戦争の材料たり得るとホワイトハウスは考えたのかもしれない。

Appleが最も恐れているのは、中国政府当局がiPhoneをターゲットとした米国に対する貿易対抗措置を講じることだ。極端な話をすれば、中国政府は、今年も9月に発売するであろう新型iPhoneが米国に届かないように仕向けることもできるからだ。もしそうなれば、Appleは半分以上の売上を米国で失うことになり、「大打撃」では片付かない影響が出る。