ホテルニューオータニ(東京)は、ビースポークが提供する訪日外国人向けAI(人工知能)チャットコンシェルジュ「Bebot」を4月下旬から導入する。「Bebot」を利用することで、訪日外国人が自身のスマートフォンを通じ、観光情報などのリクエストに対し瞬時に対応することができるという。

24時間365日対応するコンシェルジュ

「Bebot」はAI(人工知能)で対応するスマートフォン用チャットボットサービス。"ガイドブックを超える体験"をコンセプトに開発された。利用者は、自身のスマートフォンのブラウザ画面を通じて「Bebot」にアクセス。Bebotがホテルのスタッフに代わり、ホテルの客室・施設内に関する問合せから、周辺の観光スポット紹介、飲食店予約などのリクエストに、英語及び中国語で24時間365日リアルタイムに対応してくれる。

飲食店の予約は基本的にどこでも可能であり、予約が取れないお店の場合は代わりの候補を案内してくれるという。宿泊ホテルの情報、ビースポーク社DB、ビースポーク社のパートナー企業DB、ウェブ上の情報を組み合わせて返信する仕組みとなっていて、質問には何らかの返信がある仕様とのこと。

AIの登場は仕事を奪うか?

ホテルニューオータニでの「Bebot」導入は、同ホテルからの要望から始まったという。同ホテルは東京千代田区の紀尾井町にあり、江戸時代には井伊家の中屋敷があった場所。そこに3棟の建物と約1500もの客室に加えて、広大な日本庭園や38のレストラン&バーなど付帯施設が多数存在する。

このため、宿泊客が館内で迷ったり、施設を十分に満喫できなかったりすることがあったそうだ。ホテル側としても、一人ひとりに丁寧なもてなしや案内を、スタッフの人的リソースの兼ね合いから十分に提供できなかったことがあり、課題となっていたそうだ。

この問題を解消するため、従来提供していた"人によるコンシェルジュサービス"と「Bebot」を組み合わせ、滞在をトータルにサポートして、より満足度を高めたいとの考えが導入のきっかけとなった。「Bebot」は施設ごとにカスタマイズが可能で、Web上にはない施設情報や、ホテルのイベント情報、クチコミ投稿のお願いなど、項目単位で独自設定されているそうだ。ホテルニューオータニでの「Bebot」サービス開始は、4月下旬とのこと。

「Bebot」を含めたチャットボットは、プログラミング不要でBotを作れる作成プラットフォームもあるなど、一般企業での導入も多い。AIなどテクノロジーの進化により、ホワイトカラーの仕事が奪われるという見方もある。しかし、現時点で提供されているAIを利用したサービスは、人間の仕事を奪う存在でなく、仕事の幅や質を補うパートナーと言えるだろう。