米Appleは4月19日 (現地時間)、2018年の「Environmental Responsibility Report (環境進捗報告書)」を公開した。同社が継続的に行っている環境に関する取り組みについて、これまでの成果、そして今後の課題および計画についてまとめている。

Appleは今年、データセンターやオフィスなど同社施設における100%クリーンエネルギーを実現した。そのため、今年の環境進捗報告書は大きなマイルストーンに至るまでのレポートと呼べるようなものになっている。7ページに2011年度から2017年度までのAppleの施設における温室効果ガス排出量の推移のグラフが掲載されている。Appleの施設は年々増加しており、もし再生可能エネルギープログラムを行っていなかったら、2017年度には温室効果ガス排出量が2011年度の約3倍に増加している。ところが、プログラムの効果で、施設が増加しているにもかかわらず半分近い低減を実現した。

  • Appleの施設の温室効果ガス排出量の推移

    Appleの施設の温室効果ガス排出量の推移、緑が実際の排出量、点線は再生可能エネルギープログラムを実施していなかった場合 (出典: Environmental Responsibility Report)

100%クリーンエネルギーも、Appleにとってゴールではない。同社は自社施設の温室効果ガス排出量だけではなく、製造や製品の使用、輸送、リサイクルや再利用プログラムを含めた排出量を計測し、包括的な削減に努めている。

2015年からは製造パートナーの再生可能エネルギーへの移行をサポートするプログラムを開始し、2018年4月時点で23の製造パートナーが100%クリーンエネルギーでApple製品を製造するようになった。

製品使用を見ると、最新のMacBook Proは初代のRetinaディスプレイ搭載モデルよりも消費電力が61%少なく、iMacはスリープモード時の電力消費がオリジナルモデルよりも最大96%少ない。また、HomePodの音楽再生時の消費電力は9WとLED電球並みに小さい。Apple製品の平均エネルギー消費量は、2008年から68%も減少した。また、丈夫さを保ちながら製品パッケージを小型・軽量化することで、製品1つあたりの輸送時の燃料消費を減少させてきた。

19日には「Daisy」という第二世代のiPhone自動分類ロボットシステムを公開した。リサイクルや再利用の活用は廃棄を減らし、天然資源の保護につながる。それを温室効果ガス排出量の少ない仕組みやシステムで実現することで、環境への影響を最小限にとどめられる。Daisyは初代システムよりも多くのiPhoneモデルの分解に対応しながら、システムサイズは初代システムの約1/3だ。

2019年以降については「再生可能エネルギーへの移行に不可欠なエネルギーストレージへの投資など、新市場を開拓し続ける」としている。Appleおよびパートナー、そして社会や人々が必要とする電力の増加、それに伴うクリーンエネルギー利用の拡大を賄っていくために、引き続き環境対策テクノロジーの開発を推進していく。

  • Apple Parkは100%クリーンエネルギー

    Apple Parkは100%クリーンエネルギーであり、バッテリーストレージやマイクログリッドを通じて、余剰電力が発生する期間にはクリーンエネルギーをグリッドに供給する