CA Technologiesは4月19日、2019年度(2018年4月~2019年3月)の事業戦略を説明。この中で、代表取締役 社長 反町浩一郎氏は、「2019年度は、モダン・ソフトウェア・ファクトリをさらに、推進・拡大する1年だ」と述べた。

  • CA Technologies 代表取締役 社長 反町浩一郎氏

同社はここ数年、デジタルトランスフォーメーションを推進しており、昨年度は「モダン・ソフトウェア・ファクトリ」に注力した。同社は2019年度も、引き続きモダン・ソフトウェア・ファクトリの推進を戦略の中心に据える。

モダン・ソフトウェア・ファクトリは、「アジャイル開発」「DevOps」などで、テストやリリースなど、ソフトウェア開発工程を自動化し、迅速に提供していこうというもの。

  • モダン・ソフトウェア・ファクトリ

反町氏は同社がモダン・ソフトウェア・ファクトリに注力する理由について、「属人的な開発工程を標準化し、ベストプラクティスをのせ、工場の製造工程のように工程ごとにプロセスを自動化し、製品の大量生産を実現する。デジタルトランスフォーメーションはかなり浸透してきているが、まだ、初期段階であり、IT管理能力が低い点がボトルネックになっている。このギャップを埋めていくのが、モダン・ソフトウェア・ファクトリであると考えている。重要なのは、『アジャイル開発』『DevOps』『マイクロサービス(APIを通じて、汎用的なマイクロサービス化すること)』の3つだ。この3つがそろわないとアジリティは実現できない、また、この3つがあるのがCAであり、それがCAの強みでもある」と説明した。

同氏は昨年の日本法人の業績について、「昨年は、日本法人設立20周年ということもあり、実りの多い年だった。モダン・ソフトウェア・ファクトリでは、セキュア、アジリティに開発するということに賛同いただき、売上も前年比で30%成長し、好調であった。とくにこの製品ということもなく、万遍なく伸びており、これはモダン・ソフトウェア・ファクトリのたまものだ。デジタルトランスフォーメーションのサポートができ始めた年であり、かなり動き始めたと実感している。モダン・ソフトウェア・ファクトリによって、お役に立てる事例も増えている」と好調さをアピールした。

  • 2018年度の実績。売上が前年比で30%成長したほか、新たなパートナーの獲得により、パートナー経由の売上も前年費で50%伸びたという

一方で今後の課題として、「日本は米国に比べ、IT分野で2-3年遅れている。日本は、フォロワーが多く、イノベーターやアーリーアダプターが少ない。いかに最新のテクノロジーを普及していくかだ」と、モダン・ソフトウェア・ファクトリを推進する上で、新しい技術を受け入れる土壌を醸成していく必要性を挙げた。

そのため、同社は2019年度は、最先端テクノロジーの普及・啓蒙に力を注ぎ、API管理、アジャイル開発、DevOps、メインフレーム、モダン・ソフトウェア・ファクトリーの啓蒙から人材育成まで多様なプログラムを提供する。

  • 最先端テクノロジーの普及・啓蒙のプログラム

「最新のテクノロジがどう使えるのか、どういう業務に役立つのかをといった点を広めていきたい」(反町氏)

また、2019年度はDevSecOpsとクラウド環境に対応したソリューションの拡充を図っていく。DevSecOpsのSecはセキュリティだ 。

「コードの脆弱性を予めつぶしておくのがいまのトレンドだ。その分野に注力する」(反町氏)

具体的には、昨年買収した「CA VERACODE」を2019年度中に日本市場に投入するという。

  • 「CA VERACODE」を2019年度中に日本市場に投入

一方のクラウド環境に対応したソリューションでは、メインフレーム向けのソリューションを拡充するという。

いまさら、メインフレーム?という疑問も抱くが、これについて反町氏は、「昨年の国内のメインフレームの出荷額は金融、公共、製造を中心に前年比で12.3%伸びており、世界のメインフレーム市場は2021年に向け平均2.58%成長するといわれている。また、ブロックチェーンやGDPRの基盤になりつつある。メインフレームがデジタル・トランスフォーメーションにおいて重要な役割を担う」と語った。

製品としては、ワークロードの自動最適化して、コストを抑える「CA Dynamic Capacity Intelligence」や、メインフレーム上のアプリとデータをセキュアに管理する「CA Data Content Discovery」などを提供するという。

  • 「CA Dynamic Capacity Intelligence」(左)と「CA Data Content Discovery」(右)