[ブリュッセル/サンフランシスコ 12日 ロイター] - 米グーグルの携帯端末向け基本ソフト「アンドロイド」事業について独占禁止法違反の有無を調べている欧州連合(EU)の欧州委員会は、数カ月以内に最終的な調査結果を公表する見通しだ。

欧州委はベステアー委員(競争政策担当)が先月、グーグル解体の可能性に言及するなど厳しい姿勢で臨んでおり、今回はグーグルに対して巨額の制裁金を課し、スマートフォンメーカーに地図アプリ「グーグルマップ」などグーグルのアプリケーションソフトの導入を強要する取り決めについても見直しを求めるとみられる。

しかし業界筋やアナリスト、さらにはグーグルのライバル企業からすらも、グーグルとの関係維持がもたらす恩恵があまりにも大きいため、市場におけるグーグルの圧倒的な優位は揺らぐことはないとの声が出ている。

マイクロソフト<MSFT.O>のモバイル戦略チームのメンバーだったロバート・マーカス氏は、EUの制裁によってグーグルを大きく変えることは「事実上不可能だ」と話す。

ドイツの規制当局がソーシャルメディアからのヘイトスピーチの迅速な削除を義務付けたり、各国の税務当局が税逃れの防止に努めるなど、個々の取り組みは行われている。しかし製品やサービスが無料でやり取りされている市場で競争を促すのは極めて難しい。

グーグルの独占禁止問題を調べているフォーダム大のマーク・パターソン教授は「いったん市場での地位が確立されてしまうと制止できなくなる」と話す。

グーグルは欧州のインターネット検索市場で90%のシェアを持ち、スマホメーカーや消費者が別のサービスを使いたいと思ってもグーグルのサービスに代わるようなアプリはみあたらない。

スマホメーカーはグーグルからの縛りがなくなっても、グーグルマップなど人気アプリの使用中止には乗り気にならないだろう。

大手スマホメーカーの幹部は、欧州の通信会社からグーグルマップやグーグルプレイを搭載していないスマホの販売は拒否すると伝えられたと打ち明けた。

アンドロイドに代わるスマホ用基本ソフトも出てこない状態が続いている。

EUはマイクロソフトやオラクル<ORCL.N>などの提訴を受けて2015年にグーグルのアンドロイド事業に対する調査を開始。16年にはグーグルに反競争法違反を警告した。

EUの関係者によると、欧州委の今回の決定は2016年の警告から大きく踏み込んだ内容にならないとみられる。アンドロイド事業の撤廃命令は欧州の法律に反するという。

グーグルは昨年、検索結果で不当な表示を行ったとして欧州委に24億ユーロの制裁金を課されたが、これは同社の昨年の売上高の2%にすぎない。

またEU筋によると、欧州委はグーグルに対してメーカーがアンドロイドの派生版を利用することを認めるよう義務付ける可能性がある。

しかしフェアサーチの法律専門家トーマス・ビンジェ氏は、こうした規制でグーグルの独占体制が崩れることはあり得ないと指摘する。

CCCインサイトのハイテクアナリスト、ジェフ・ブレーバー氏は「アンドロイドは市場で圧倒的な地位を獲得している。メーカーはアンドロイド頼みの状態で、どのような規制があろうと何も変わらない」と述べた。