皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、内縁の夫と暮ら50代の無職の女性です。ファイナンシャル・プランナーの藤川太さんがアドバイスします。

◆今ある貯蓄と少ない年金で老後生活は送れますか?
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、内縁の夫と暮らす50代の無職の女性です。ファイナンシャル・プランナーの藤川太さんがアドバイスします。

※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料になります)。
https://sec.allabout.co.jp/post-form/form/22

◇相談者
ペコさん(仮名)
女性/無職/52歳
石川県/賃貸住宅

◇家族構成
内縁の夫(自営業/54歳)、犬

◇相談内容
3年前から内縁の夫(54歳)と暮らしています。結婚する予定はありません。貯蓄もなく、年金もないため、元気なうちは働いてもらうつもりです。私は、自分の年金(年額84万円)と貯蓄(アテにされたら困るため、金額など夫には言っていない)だけで老後生活を送れるでしょうか?そのために今しておくべきことはありますか?現在、体調がすぐれず、働いてはいません。生活費は内縁の夫の収入でやりくりしています。

私は、生活保護を受けていた親に育てられたため、自分の子どもには辛い思いはさせまいと、結婚後、必死で働いてきました。子どもは2人いますが、ともに自立し、結婚もしています。孫ができればわずかでも資産を残したい、そのために貯蓄もしたいと思っています。ちなみに、私の両親は他界し、兄弟もいません。よろしくお願いいたします。

◇家計収支データ
「ペコ」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)保険料の内訳
・本人/終身保険 (60歳払込終了、死亡保障200万円) =保険料:6,000円
・本人/医療保険(終身保障終身払い、入院1万円、女性疾病特約)=保険料:5,000円
・本人/がん保険(終身保障終身払い、入院1万円)=保険料:3,000円
・本人/共済(病気死亡400万円、病気入院4500円、手術特約、先進医療特約など)=保険料:3,000円

(2)投資について
投資信託は以前していたが150万円損し、以来二度としないと決めている。

(3)雑費について
愛犬が高齢のため医療費がかかっている。

◇FP藤川太からの3つのアドバイス
アドバイス1:「貯めどき」をどれだけ継続できるか
アドバイス2:少ない資金で生活する術を身に付ける
アドバイス3:内縁の夫との「今後」を決めておく

◆アドバイス1:「貯めどき」をどれだけ継続できるか
事情はいろいろ複雑なようですが、内縁のご主人は、私自身、マネー相談を通じてよく遭遇するタイプの方です。貯蓄もなく、年金の保険料も納めていない。でも、働けば何とかなるというような、良く言えば楽観主義、悪く言えばその日暮しのような人。こういう人といっしょになった場合、元気なうちはいいのですが、働けなくなると一気に家計が苦境に陥ります。少なくとも、ペコさんの貯蓄額については、知ればアテにされる可能性が高い。言わない方が賢明でしょう。

さて、相談者のペコさんが心配されている老後ですが、年金が年間84万円ということは月7万円ですから、それしか老後の収入がなければ間違いなく苦しい老後となります。そうなると、今ある貯蓄1800万円はまさに虎の子。これをどう大事に、より長く老後資金として保たせるかがとても大事になってきます。

その対策としてまず、ご夫人には元気なうちは何歳でも働いてもらうこと。実は、ペコさんの家計は状況的には「貯めどき」なのです。毎月6万円貯蓄できるわけですから年間にして72万円。これを少しでも長く、そしてできる限り貯蓄ペースを落とさず継続させたい。収入が途絶えた時点で、家計は「使いどき」に変わります。そして、「貯めどき」が長く続くほど「使いどき」は短くなります。結果、老後資金をより保たせることができるわけです。

◆アドバイス2:少ない資金で生活する術を身に付ける
もうひとつの対策は、少ない資金で生活できる術を身に付けること。
実際、商店街で店を出されているような自営業の人は、本当に少額の年金で老後を過ごしています。生活費は夫婦2人でも月8万円で済むというケースも決してめずらしくありません。この中に家賃は入っていませんが、国民年金が夫婦合算で12万円くらいあれば、貯蓄までできてしまうのです。

しかも、決して無理をしていない。必死に節約しているわけでもない。それどころか、楽しく生活をしている。ここがとても重要なところ。老後の楽しみというと、好きなときにゴルフをしたり、海外旅行に行ったりというイメージがありますが、こういう人たちは違います。生き生きと自治会での活動をしている。地域の美化とか防犯対策とか、そういうことを地域の人と楽しんでやっているんです。

こういう例は、年金が少なく不安に思っている人にとって、参考となるひとつのモデルケースだと思います。どう楽しみを見出すかは個々に違って構いません。ともあれ、それを自分自身で見つけ出すことができれば、老後資金の不安は解消されていくはずです。

◆アドバイス3:内縁の夫との「今後」を決めておく
将来の家計負担を減らすため、住宅について考えておく必要があるでしょう。住宅コストが月5万5,000円。月7万円の年金生活にとっては、大きな負担です。となれば、解決策として住宅購入という選択肢もあります。購入するとすれば、200万~300万円程度の格安物件。とくに空き家が増えている地方では、探せば見つかるはず。交通も不便で、築年数は当然経ってはいますが、クルマもありますし、老後だけを過ごせればいいと割り切れば、そう気にすることはありません。

何より、劇的に住宅コストが下がります。検討してみる価値はあるでしょう。物件はネットでも調べられますし、最近では各地方自治体が「空き家バンク」を立ち上げ、地元の空き家の情報提供を行っています。利用してもいいと思います。

ただし、いくつか老後対策を考えてみましたが、ご主人との関係をどうしていくのか。老後は資金的にそれに大きく左右されます。そう遠くない時期に決めておくべきでしょう。少なくとも現在の関係は、ペコさんにとって恵まれています。家計をやりくりし、家事もされているのでしょう。それでも30万円の生活費を渡され、結果的にそこから貯蓄もしている。ペコさんは働けない状態ですが、それでも、自分の貯蓄を取り崩すことはないわけです。

しかし、ご主人に収入がなくなった後も2人で生活していくのであれば、その立場は逆転します。ペコさんはご主人の食費もお小遣いも、自分の年金や貯蓄から負担することになるからです。

最後にペットについて。現在の愛犬はかなりの高齢ですから、今後も医療費はかかってきます。問題は、愛犬を失った後。新たに何かを飼うのなら、慎重に考えた方がいいからです。長寿のペットであれば、自分より長生きする可能性も。オウムの場合、50年近く生きる場合もあるのだとか。ペットで癒される部分は大きいと思いますが、そのあたりを逆算してペットも選んでいくべきでしょう。

教えてくれたのは……藤川太さん

All About「資産運用」ガイド。「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり1万5000世帯を超える家計の見直しを行ってきたFP。資産運用、家計管理、マイホーム購入、不動産投資などに詳しく「普通の人」でもお金を貯める・増やせるようになる方法をアドバイスしています。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ

文=あるじゃん 編集部