皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、マンション購入を希望する独身の女性会社員の方。ファイナンシャル・プランナーの八ツ井慶子さんが担当します。

◆1200万円のマンション、40歳での購入は可能?
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、マンション購入を希望する独身の女性会社員の方。ファイナンシャル・プランナーの八ツ井慶子さんが担当します。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料になります)。
https://sec.allabout.co.jp/post-form/form/22

■相談者
江口弥生さん(仮名)
女性/会社員/35歳
東京都/賃貸住宅

■家族構成
独身、一人暮らし

■相談内容
毎月貯蓄ができません。毎月給料から天引きで1万円と、その他に500円玉貯金で月1万5,000円くらい貯まりますが、こちらは不安定なのでカウントしていません。副業も禁止されており、収入アップは難しいです。将来的に1200万の中古マンションを40歳までに、10~15年ローンで購入したいと思っています。今後、どのように貯金額を増やして住宅購入の準備をしたらよいでしょうか。

■家計収支データ
「江口さん」の家計収支データ

■家計収支データ補足
(1)「趣味娯楽費4万円」の内訳
国内旅行が月2回程度、あとは映画、他交際費など

(2)保険料の内訳
・本人/終身(終身払い、500万円)=保険料:5,200円 
・本人/医療(終身タイプ終身払い、入院5,000円)=保険料:1,800円
・本人/がん(終身タイプ終身払い、診断一時金100万円、入院5,000円)=保険料:2,000円 

(3)マンションについて
1200万前後で2DK(30平米)ぐらいのマンションの購入を検討。しかし、両親が他界しており身寄りがいないので、賃貸で定年まで暮らしつつ、有料老人ホームの資金を貯めた方が良いのか……?とも悩んでいる

(4)仕事について
仕事は印刷業の営業事務。現在は勤続希望ですが、昨今のペーパレス化に伴う業績悪化も否めないので、転職も視野には入れている。定年は60歳で勤務形態変更での雇用延長はなし

(5)結婚について
予定なし

■FP八ツ井慶子からの3つのアドバイス
アドバイス1:住宅はランニングコストを考慮 しよう
アドバイス2:希望物件の見直しも検討したい
アドバイス3:500円玉貯金は先取り貯蓄に切り替える

◆アドバイス1:住宅はランニングコストを考慮しよう
まずはマンション購入について、希望されているプランで住宅ローンを組むと、家計はどうなるのか、試算してみましょう。物件価格1200万円を40歳までに購入ですから、最長で5年後。毎月の貯蓄を2万5,000円とすると、5年後には150万円となり、貯蓄総額は200万円。

購入時には、諸経費(印紙代、登記手数料、引越し代、中古物件であれば仲介手数料など)が発生しますので、それを100万円。また、手元にもある程度資金を残す必要がありますから、結果的に物件価格のほぼ全額が借り入れとなります。

希望されるローンの返済期間は10~15年。仮に15年、全期間固定の金利1.35%(※)で借り入れると、毎月の返済額は約7万4,000円。加えて、固定資産税やマンションであれば、管理費などが発生します。それらが月割りで2万~3万円とすれば、毎月のランニングコストは10万円ほど。現在の家賃が6万円ですから、今より4万円超の支出増。ローンの支払い開始と同時に赤字家計に陥ります。すなわち、現状では5年後に1200万円のマンション購入は大変リスクが高いと言わざるを得ません。

※2015年7月のある銀行の15年固定金利

◆アドバイス2:希望物件の見直しも検討したい
解決策としては、まず貯蓄ペースを上げる必要があります。家計を拝見する限り、趣味娯楽費と通信費が若干高めという気がします。趣味やレジャーが生活に欠かせないものだということはわかります。ということは、住宅購入や自身の老後と今の楽しみを天秤にかけ、冷静に検討する必要ありという状況であるのは事実。もちろん、すべてをカットする必要はありません。支出を下げても楽しめる、そんな工夫が大事になってくると思います。

もうひとつは、物件価格を下げるということ。都内や立地のいいところにこだわらなければ、可能なはず。また今後、住宅はさらに供給過剰になり、家余り傾向が高まります。通勤などを考えれば購入エリアはある程度限られるでしょうが、検討する価値は十分にあると思いますよ。

たとえば、収入は現状維持で推移したとして、毎月5万円、年間60万円貯蓄すれば300万円。物件価格800万円に対して頭金200万円を入れて、残り600万円を先と同じ条件で借り入れると、毎月の返済は約3万7000円。その他ランニングコストを加えても、ほぼ現在の家賃程度に住宅の支出は収まることになります。

◆アドバイス3 500円玉貯金は先取り貯蓄に切り替える
また、ずっと賃貸に済み続け、老後は有料老人ホームとした方が得策かについては、一概にはどちらがいいとは言えません。ただ言えることは、ずっと賃貸であっても、現状のままでは、60歳までの25年間に貯められる額は750万円。有料老人ホームの費用はいろいろですが、準備資金としては心もとないでしょう。

ご相談者のケースでは、何年後にマンションを買う、賃貸に済み続け老人ホームに入居するとまだ決めつけない方がいいのではないでしょうか。まだまだ時間はあります。転職の可能性もあるのですから、今は将来の備えである貯蓄に励むことを最優先にされてはどうでしょう。

それと、500円玉貯金をされていることについて、これはご本人も言われるとおり「不安定」な貯蓄です。その日、財布に500円玉がなければ貯蓄しなくていいという、いわば逃げ道があります。不安定だからカウントしないのではなく、あえてカウントする貯蓄に格上げしてみては。月に平均1万5,000円くらいのペースで貯まるのであれば、事前に同額を自動振替定期などの先取り貯蓄で確実に積み立ててみましょう。その上で、さらに500円玉貯金ができれば、自然と貯蓄率も上がりますよ。

教えてくれたのは……八ツ井慶子さん

ファイナンシャル・プランナー。大学卒業後大手信用金庫に入庫。本当にお客様にとっていいものを勧められる立場になりたいとの思いから、個人相談が中心のファイナンシャル・プランナーとして独立。近著に『ムダづかい女子が幸せになる38のルール』(かんき出版)と『サラリーマン家庭は"増税破産"する! 』(角川oneテーマ21)がある。テレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。All Aboutマネーのガイドを務める

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ

文=あるじゃん 編集部