光るつけまつげという商品自体はパーティグッズとしてすでに売られているが、無線給電の技術を活用し、ワイヤレスでの発光を実現したのが、立命館大学 理工学部の道関隆国教授率いる研究グループだ。

技術の意外な活用例として、また資生堂との共同開発ということも話題になったこの「光るつけまつげ」について、道関教授に開発経緯と今後の予定を聞いた。

  • 立命館大が資生堂の依頼を受け開発した、超小型受信機付光るつけまつげ

    立命館大が資生堂の依頼を受け開発した、超小型受信機付光るつけまつげ

ーー年初に光るつけまつげの開発を発表されて話題を呼びましたが、開発のきっかけなどあれば教えてください。

大手化粧品会社の資生堂からの依頼で、電池で動作する従来の「光るつけまつげ」で配線が化粧の関係で邪魔になるのでなくしてほしいという依頼がありました。

私の研究室はバッテリレスシステムを主に研究しているので、無線給電で配線のない「光るつけまつげ」を開発しました。

従来の「光るつけまつげ」は、頭部に装着した電池とCPUを、配線でつけまつげに接続しています。このため、頭部からつけまつげにかけての配線が見えてしまう欠点がありました。当研究室で開発した「光るつけまつげ」のアドバンテージは、電池や配線もなくファッション性が高まったことにあります。

ーー資生堂が光るつけまつげを道関先生に依頼した動機は何だったのでひょうか?

資生堂は、将来の化粧のイメージを探索しており、化粧とエレクトロニクスの融合の一つとして今回の依頼がありました。

参考:資生堂が行っている「化粧とエレクトロニクスの融合」の取り組みのひとつである、IoTスキンケア「Optune」

ーー電池なしで光ることができるということですが、その仕組みについて教えていただけますか?

TVやラジオ放送の電波も、送信機の電力を大きくしていくと受信機で電力を得ることができます。今回、ISMバンドの2.45 GHzの電磁波で無線給電することでLEDを点滅させました。

電磁波の場合は、人体への安全性の観点から防御指針が定められていて、むやみに送電電力を大きくできません。そこで、送電機の送電電力を距離に応じて制御し、常に防御指針を超えないよう安全対策を施しました。

  • 超小型受信機付光るつけまつげ

    超小型受信機付光るつけまつげは、市販のつけまつげの付け心地を確認した上で、軽量化を重視して開発された。

ーー開発チームは道関先生や学生ふくめ男性だけだったということですが、つけまつげは実際装着されましたか?また、付けた結果得られた発見などあればお教えください。

試作した「光るつけまつげ」を実際には装着していませんが、つけまつげ自体がどのようなものか装着して実感させ、試作したつけまつげの重さを極力抑えることに注力しました。 

ーー以前、「つけまつげ以外のデバイスへの展開もありうる」とコメントされていましたが、どういった方向を考えておられるか、例などあればお教えください。

ヘルスケア関連のウエアラブルデバイスへの給電等にも役立つものと考えています。

ーー最後に、光るつけまつげの直近の開発目標と、実用化めどを教えてください。

安全性評価を十分行い、実証実験を行っていく予定です。数年後には実用化を目指したいと思っています。

ーーありがとうございました。