NTTデータ経営研究所と早稲田大学スポーツビジネス研究所は3月30日、大学やプロスポーツリーグ、民間企業、Sports-Techスタートアップ企業、スポーツ関連団体、自治体などの参画を得て、テクノロジー活用によるスポーツ事業創発コンソーシアム「Sports-Tech & Business Lab」を共同で設立したことを発表した。

「Sports-Tech & Business Lab」では「スポーツビジネス」「街づくり」「情報通信技術(ICT)」「周辺産業」の4分野にまたがる事業創発を促すプラットフォーム機能を提供。異なる学問分野・産業分野間の技術や知見を融合することで、「デジタル化時代に即した次世代スポーツビジネス」および「周辺産業や地域と連携して、スポーツ産業が自律的成長を実現するビジネスエコシステム」の構築を目指していく。

  • Sports-Tech & Business Lab 基本コンセプト

    Sports-Tech & Business Lab 基本コンセプト

具体的な活動としては、事業創発・産業育成という観点からSports-Techを体系的・網羅的に学ぶ「Sports-Tech研究会」、Sports-Techによる新たなビジネス機会の発掘、新商品・新サービスの案出などを行う「意見交換会」、テーマ別にメンバーをグループ分けし、異業種の民間企業と異分野の研究者が共同で具体的な事業創発を実現するため「ワーキンググループ(WG)」、WGよりもさらに特化した企業・大学による新たな商品化・事業化に向けたプロトタイピング、実証実験、マーケティング調査等を行うための「事業化推進プロジェクト(BP)」、そして「各種の政策提言、調査研究事業、他団体との連携及び交流」などを実施していく。

同コンソーシアムで取り扱う課題は幅広いが、まずは「地域を軸としたデジタル・スポーツタウンの開発」「スポーツデータ分析の共通基盤の構築・トップスポーツの知見の応用・企業課題の解決」「楽しさ・ファンエンゲージメントの見える化と、新たなスポーツ体験の開発」「テクノロジーによる部活動改革」「スポーツ実施率向上に向けたスポーツシェアリングエコノミー」の5テーマについて、2~3カ月に1回の研究会開催と、テーマ別WGの組成を予定している。

  • 検討テーマ例

    検討テーマ例

組織構造としては、すべての活動に参加できる正会員(一般会員/特別会員/優遇会員)と、研究会のみに参加できる準会員、活動の一部に参加できる協賛会員に分かれる。参加に対する条件は特に設けておらず、スポーツに関わる課題解決を目指していれば参加可能。年会費は一般会員が75万円、特別会員が100万円、準会員が10万円、協賛会員が20万円だ。公的な機関や大学などは優遇会員として年会費が免除される。

2018年3月末時点では28の会員が参画。同コンソーシアムでは、今後も取り組みを広げていくために、より多くの企業、研究機関等の積極的な参加を呼び掛けていくとしている。

  • 参加会員

    設立時点での参加会員一覧

早稲田大学スポーツビジネス研究所 所長の間野義之氏は「日本で行われるスポーツのビッグイベントは2020年だけでなく、2019年にはラグビーワールドカップ、そして2021年には生涯スポーツの国際総合競技大会ワールドマスターズゲームズが関西で催される。まさに千載一遇のチャンス。これをきっかけに現在5.5兆円のスポーツ産業の市場規模を2025年までに15兆円に成長させたい」と展望を述べた。

  • 早稲田大学スポーツビジネス研究所 所長の間野義之氏

    早稲田大学スポーツビジネス研究所 所長の間野義之氏

また、NTTデータ経営研究所 代表取締役社長の川島祐治氏は「『スポーツの成長産業化』は、IoT・ビッグデータ・人工知能による『第4次産業革命』と並んで、日本が掲げる再興戦略の1つに数えられている。さまざまな業種の融合を進めることで新しい事業の創出やイノベーションの創出を行い、スポーツ産業の発展に貢献していきたい。2020年以降スポーツビジネスが持続的に成長していくには、この1~2年の取り組みが大事だと考えている」と意気込みを見せた。

  • NTTデータ経営研究所 代表取締役社長の川島祐治氏

    NTTデータ経営研究所 代表取締役社長の川島祐治氏

コンソーシアムの今後の活動予定、活動実績、参加メンバーの情報については、専用Webサイトにて随時公開する予定だ。