皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、現在、借金のある夫との離婚を考えているものの、貯蓄がなく行動に移せない42歳の会社員女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◆夫は借金があり、毎月家計は赤字。どうすれば貯蓄ができますか?
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、現在、借金のある夫との離婚を考えているが、貯蓄がなく行動に移せない42歳の会社員女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

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◇相談者
ぷーさん(仮名)
女性/会社員/42歳
賃貸住宅

◇家族構成
夫(会社員)、子ども2人

◇相談内容
クレジットカード支払いで毎月赤字になっているので、現金払いにして黒字にしたい。そして、子供の進学、老後、離婚費用のために貯金したい。週末は家にいたくないので出かけてしまい、費用が掛かる(毎週現金1万円ぐらい用意している)。現金がないので、夫婦それぞれがクレジットカードを持ち、使い放題となっている。管理したいが、小遣いとしての現金がないために管理出来ていない。夫婦仲がうまくいっていないので、離婚して実家に帰りたいが資金がなく、この状態では話を切り出せない。1~3年後を目標に、現金や貯蓄を増やして分配出来るようにしたい。

◇家計収支データ
相談者「ぷー」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)ボーナスの使いみち(昨年/50万円)
生活費の補てん24万円、車検代10万円、レジャー費10万円、保険(未納分)3万円、家族の小遣い3万円

(2)加入保険について
・夫/共済(病気死亡10万円、病気入院5000円、手術特約付き)=毎月の保険料2000円
・妻/共済(病気死亡100万円、病気入院5000円、手術特約付き)=毎月の保険料2000円
・子/共済(病気死亡10万円、病気入院6000円、手術特約付き)=毎月の保険料1000円×2名分
・子ども/学資保険(22歳満期、満期金100万円、他に進学ごとに祝い金計110万円)=毎月の保険料1万1000円×2名分(※ただし1本、保険から47万円貸付・金利3%)

(3)教育費の内訳
保育料2万6500円、小学校費用2500円、学童9000円、英語教室(2人分)1万2000円、学習塾8000円

(4)小遣いの内訳
・夫/4万円(ガソリン代含む)
・妻/5000円

(5)離婚について
子どもは2人とも引き取る。それ以外のケースは考えていない。

(6)離婚について・2
(相談者コメント)「離婚の話を切り出せないのは、子供の学校(転校)と資金が足りないのが原因と思っています。資金は、離婚費用の他に、夫の借金もあり、その支払いを私もしないといけないのか?という点が気になって切り出せなかったので、相談したかったのです。

結婚前から夫に借金があり、さらに税金の未納もかなりあり、結婚費用に親からもらったお金を使い支払いました。消費者金融での借金は、過払い請求をしたり、おまとめローンを組んだりして、ようやく銀行のフリーローン1件に出来ましたが、その支払いを私もしないといけないでしょうか?心情としてはもう十分お金を出したので支払いたくないのですが…。

上記の件の支払いをせず、カード払いをやめて現金で支払う生活に出来れば、今の収入でやっていくつもりでいるので、出来れば月収の3か月分=108万円を貯めてから話したいと思っています。ただ、どちらかの子供の入学時期に合わせて転校したいと考えているので、その時期が来てしまったら資金を貯める前に話を切り出してしまいそうです」

(7)離婚後の生活費(相談者の試算)
●減る支出/計21万3000円
(内訳)家賃7万2000円、通信費(夫の分)1万3000円、車両費5000円、電気水道料金1万5000円、趣味娯楽費2万円、小遣い4万円、保険料2000円、夫の借金/銀行1万8000円、夫のカードローン返済1万円

●増える支出/計3万~5万円
実家に生活費(食費、水道光熱費)として3万~5万円入れたい。車は実家に2台あるので買う予定はなし。同居が難しい場合は、実家近くの県営住宅に申し込む。

(8)借金の保証人
これまで夫の借金で相談者が保証人になったことはない。

◇FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 貯まるまで待つのではなく、親に借りる
アドバイス2 離婚手続きは専門家の力を借りてスムーズに
アドバイス3 リスタート後の家計管理が重要

◆アドバイス1 貯まるまで待つのではなく、親に借りる
ご相談、拝見いたしました。ご相談者のぷーさんがまずすべきことは、実家の親御さんに事情を説明して、資金を借りることです。そして、できるだけ早く離婚を進め、同時に一刻も早く実家に戻ることです。金額は、予算として考えられている100万円程度は借りたいところ。ただ、ご実家の資産内容や経済状況はわかりません。それでも、少しでも借りられるなら親に依存してください。誠意をもって話をして、離婚後、働いて返済するプランも示してください。金融機関などから借り入れることは、おススメできません。

急ぐ理由は、時間をかけても必要な資金を作れる見通しが立たないということ。おそらく、節約を心掛けても、夫婦が協力できない状態では難しいでしょう。それどころか、今後、新たに借り入れをしてしまう可能性もあります。さらに言えば、知らない借金がまだあるかもしれません。

そして、もうひとつの理由は、これ以上、今の生活を続けるとぷーさん自身が精神的に疲弊してしまう、つまり健康を害する可能性が高いからです。すでにストレスを相当抱えているはず。お子さんの転校時期も気にされていますが、お子さんにとっても現状の生活がいい環境とはとても思えません。総合的に考えて、先延ばしによるデメリットの方が、明らかに大きいと考えられます。

◆アドバイス2 離婚手続きは専門家の力を借りてスムーズに
離婚については、スムーズに進めることが重要。そのためには、ご主人の離婚に対する反応、考えは不明ですが、もめることも想定されます。そうであれば、この件については弁護士に直接依頼されてもいいと思います。当然費用はかかりますが、お子さん2人を引き取ることはもちろん、協議中の生活費や養育費、場合によっては慰謝料の請求も考えられます。専門家の力を借りて、無駄なく、長引くかないように進めたいところです。

また、ご心配されている、ご主人の借金については、そもそも結婚前からあったのですから、原則としてぷーさんが肩代わりをする必要はないと考えられます。ご心配なら、それも専門家に相談されるといいでしょう。

おそらく離婚協議や手続きを進めながら、引っ越しや転校の手配など、同時に行うことになるでしょう。時間を取られるため、ぷーさんも仕事を退職することになります。実家に戻ってからは転職活動をしなくてはいけませんが、それも生活が落ち着いてからになります。結果、無収入状態が数カ月続くことになります。それでも必要以上に焦ったり、不安になったりせず、ときに親に頼りながら、確実にかつ計画的に実行していくことが大事です。

◆アドバイス3 リスタート後の家計管理が重要
家計については現時点では、学資保険の保険料も支出とすれば、明らかに赤字です。今ある手持ち資金もやがて底をつきます。貯蓄は難しいでしょうが、赤字は出さないよう管理はすべき。外食を減らすなど、そこは意識してください。

そして大事になってくるのは、実家に戻ってからのリスタート後。ぷーさんの試算では、それでも生活費として少なくとも月17万~18万円はかかりそうです。さらに教育費も加入されている学資保険だけでは、大学資金はまかなえません。フルタイム勤務など、今より高い収入を目指すのは当然ですが、貯蓄をしていくために家計管理もしっかりとやっていくことが不可欠となります。

とくに注意したいのがクレジットカード。事情があったとは言え、ぷーさんも無計画に使っていたわけです。その習慣は残る可能性がありますので、利用額にはついては十分意識してください。カードを使わない生活に切り替えることができれば、さらに望ましいので、徐々にその形になるように努力されてください。

もちろん、何から何まで切り詰めて生活するのでは、無味乾燥な毎日となります。家族で楽しむことも忘れず、創意工夫をしながら、上手に家計管理をしてください。また、母子家庭となりますから、児童扶養手当(※)の他、自治体によっては手当の支給や優遇制度があります。これらは正当な権利ですが、請求しないと受け取れません。必ず、県や市の担当部署に確認しましょう。離婚は体力が伴います。ぷーさんにはやることがたくさんありますが、気持ちをしっかり持って慌てることなく、着実に頑張ってください。今より素晴らしい生活が待っているのですから。

(※)対象となる子どもが18歳になる年度末(障害のある場合は20歳未満)まで受給できる。平成29年度は、子ども1人で月額9980~4万2290円、子ども2人の場合はプラス5000~9990円(世帯の所得、物価に応じて変わる)。

◆相談者「ぷー」さんから寄せられた感想
診断を拝見し、資金が貯まる見通しがつかない事、貯まるまで待たなくていいと言っていただけて、安心しました。先が読めなくてずっと不安でしたが、これで離婚に向けて頑張れそうです。実家に戻ったらカードを使わない生活に戻します。相談して本当によかったです。ありがとうございました。

教えてくれたのは……深野 康彦さん  

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武

文=あるじゃん 編集部