自動運転車初の死亡事故を起こしてしまったウーバー。ライドシェアの生みの親である同社は近年、空飛ぶタクシーへの参入を発表するなど多分野への進出を目論んでいる。ウーバーは何を目指すのか。事故の影響はあるのか。直前の米国での取材結果を踏まえながら現在と未来を考えた。

  • ウーバーの自動運転車両

    ウーバーの自動運転車両

日本では正体が把握しがたいウーバー

先日の自動運転車の死亡事故で再び名前を聞く機会が多くなったウーバー。2009年創業の同社は、自家用車のドライバーと安価な移動を求めるユーザー(同社ではライダーと呼ぶ)をマッチングするスマートフォンのアプリを開発。ライドシェアというサービスを「発明」し、多くの追随者を生んだ。

しかし、多くの日本人がその名を聞いたことがあるにもかかわらず、多くの日本人は利用したことがない。タクシー業界が「危険な白タク」と称して導入に強硬に反対しているからだ。現時点では東京でのハイヤーによるサービスと、京都府や北海道の過疎地での地域輸送に限定されている。

つまり、日本にいる限りウーバーの正体を把握することは難しい。そう思っていた矢先、米国で本社および自動運転実験を取材する機会に恵まれた。例の事故が起こる2週間前のことだった。

ウーバー本社の雰囲気は

筆者はまず、西海岸にある本社に足を運んだ。といっても、グーグルやアップルが本拠を置くシリコンバレーではなく、サンフランシスコのダウンタウンである。現在は新たなヘッドクォーターの建設を計画中というが、既存のビルの数フロアを本社とするスタイルもまた、ウーバーらしいと感じた。

  • ウーバー本社の玄関

    ウーバー本社の玄関

オフィスに入ると雰囲気の良さに圧倒される。各自のデスク以外に多彩なシェアデスクやフリースペースがあり、リラックスした空気感。こうした環境からイノベーティブなアイディアが生まれるのだろう。

  • ウーバー社内の様子

    社内はこんな雰囲気だ(画像提供:Uber Technologies Inc.)

プレゼンテーションでは、昨年180日をかけて実施したライドシェアドライバーに対する改善、ライドシェアとは対照的に我が国でも急ピッチで浸透しているフードデリバリーサービスのウーバーイーツの説明のほか、初めて耳にする事業についての説明もあった。