シカゴでの発表会を成功させることは、教育市場へのインパクトの側面で重要だ。しかし、なぜAppleが教育市場でGoogleに割り込まれたのか、根本的な理由を考える必要がある。

それは、デバイスの値段が高すぎることだ。

iPadは2017年3月に登場した第五世代モデルで329ドルへと値下げされ、長く続いたiPadの販売台数減のトレンドを食い止めた。しかし、問題は解決されていない。iPadは値下げされても、100ドル前後から選べるChromebookと比べれば大幅に高く、多くの学校でいまも重視されている生産性のためのデバイス、キーボードもサードパーティーでのオプション扱いで、煩わしいBluetooth接続を行わなければならない。小学校1年生の教室で、30台のiPadのBluetooth接続の面倒を見ることは、おそらくどの教員にとっても避けたい事態だ。

Bluetoothを介さず、カバーと一体化しているキーボードが利用できるiPad Proが登場したが、こちらは10.5インチの画面サイズと64GBの保存容量のWi-Fiモデルで649ドルと倍の価格であり、専用のSmart Keyboardの価格はなんと159ドル。合計で800ドルを超えてしまい、Chromebookの8倍となる。キーボード付きのiPadが、教育市場でいかに競争力がないかがよく分かる数字だ。

  • 現行のiPad

Appleはキーボード付きのiPadについて、現在の329ドルのレベルにまで値下げしなければ、Chromebookとの勝負そのものが始まらない。そのため、2017年6月で販売を終了したiPad Pro 9.7インチモデルを廉価版として復帰させる必要があり、注目のポイントはその価格がどこまで下げられるか、ということだ。

キーボード付きのiPadが300ドル台に収まるなら、ChromebookだけでなくWindows PCをも脅かす存在にもなり、教育市場以外にも大きな影響力をもたらすことになる。個人的には、iPadのラインアップ刷新と価格が、イベント最大の注目ポイントだと考えている。