Appleは今回、シカゴでイベントを開催する。その理由は、シカゴが重要で象徴的な市場だからだ。シカゴのK-12(幼稚園から高校まで)の公立学校に通う生徒は38万人を超え、全米で第3位の規模を誇る。その市場は既にGoogleの教育機関向け無料クラウドサービス、G Suite for Educationが導入され、小学生もChromebookを用いて、Googleドキュメントでレポートを作成しているのだ。

  • Newsroomにもシカゴの公立学校と市立大学で、50万人がSwiftを学んでいくことがアナウンスされた

すでにGoogle化したシカゴの公立学校の市場を、Appleはいかに取り返すか。そこで、2017年12月、Appleの教育市場向けの最大の武器であるプログラム言語Swiftを用いたプログラミング教育のカリキュラム「Everyone Can Code」を導入し、シカゴの公立学校と市立大学で、50万人がSwiftを学んでいくことを発表した。これはすなわち、Googleに奪われた教育機関向けのデバイスを、iPadやMacBook Airなどで取り戻すことを意味する。おそらくG Suite for Educationは引き続き採用されることになるだろう。それでも、Googleのソリューションで整っていない、教育機関からニーズがあるプログラミングのカリキュラムを武器にして、デバイス市場を奪還することに成功した、と見ることができる。

前述のように「Google化」したシカゴの教育機関から、Appleが、旬のプログラミングのカリキュラムでデバイス導入を奪還した、というのが、今回のイベントで最大のメッセージとなる。この事例が拡がることは、すでにG Suite for EducationとChromebookを導入している他の教育市場や教育機関にとって大きな影響を与えることになり、2018年以降のiPad販売を力強く後押ししていくことになる。