前回の記事では、Appleが3月27日に米国イリノイ州シカゴで教育にフォーカスしたイベントを開催することを紹介した。その招待状は、Appleロゴとイベントのテーマとなる「Let’s Take A Field Trip」の文字が、滑らかな手書きの線で描かれていた。おそらく多くの人が、「Apple Pencil」で書いたのかな?と思ったのではないだろうか。今回は、そのApple Pencilの話題だ。

  • イベントの招待状

Apple Pencilは、2015年秋に発表された12.9インチ iPad Proとともに登場したiPad Pro専用のアクセサリだ。白く、鉛筆と同じような握り心地のプラスティック製スタイラスペンで、ペン先も鉛筆削りで削ったような綺麗な円錐形をしている。

  • Apple Pencil

本体にはバッテリーとBluetooth通信が可能なチップを備え、ペンのお尻の部分のキャップを外すと、ペアリングや充電をiPad Proで行う際に用いられるLightning端子が現れる。ちなみにiPhoneでApple Pencilは利用できないが、Lightning端子に差し込めば充電することはできる。

Apple Pencilそのものは2015年発売時から変化していないが、iPad Proの進化によって、そのアドバンテージが増した。2017年に発売されたiPad Proシリーズが対応した新しいディスプレイ技術「ProMotion」によって、Apple Pencilの反応速度が向上したのである。

ProMotionは、2017年に刷新された10.5インチ/12.9インチ iPad Proに搭載されたリフレッシュレートの高速化と可変化を行う機構で、ディスプレイに表示するコンテンツに応じて、最大120Hzに高めることができる。以前のiPad Proでは60Hz、そしてApple Pencilの反応速度は最大240Hzであることから、iPadのディスプレイのリフレッシュレートが高速化したことで、同じApple Pencilでも、描画の反応速度が倍に向上したのだ。最大240Hzということは、iPad Proのリフレッシュレートがさらに倍になっても、現在のApple Pencilのままで、反応速度の向上が期待できる、というわけだ。

また、iOS 11では、Apple PencilでiPad Proのロック画面をタップすることで、直近まで作成していた「メモ」アプリがすぐに開く「Instant Note」機能が用意された。これによって、紙のノートとペンと同等の速さでメモを取り始められるようになった。この点も、Apple Pencilの可能性を広げる進化、と言える。