Apple Pencilは現在、白いボディの1種類のみが販売されている。そのため、複数本のApple Pencilが同じ場に集まると、シャッフルしてしまえばどれが自分のだかわからなくなる。そしてまた、Lightning端子を隠すキャップも、つけ忘れたり無くしたりしやすい存在だ。

Apple Pencil自体のデザインや「モノ」としての進化、そして低価格化は、前述の廉価版iPadへの対応とともに進めるべきではないか、と筆者は考えている。

例えば、iPodシリーズのようなカラフルな展開や、小さな子供でも握りやすいよう太さの変化や角のある形状の採用、前述のようにクリップを用意したりするなど、もう少し「ペン」を学んで進化させたほうが良いはずだ。

また、アプリでの活用についても、踏み込むべき要素があるだろう。

例えば、現在は標準のメモアプリでは、手書きとテキスト、画像の混在した編集が可能となっており、スクリーンキャプチャをとってその場で書き込む機能などを用意しているが、iOSとしては非常に限られたシーンでのApple Pencil活用にとどまっている。これは、iPadのすべてのユーザーがApple Pencilを利用するわけではない、という前提によるものだ。

「Keynote」や「Pages」といった「iWork」製品、あるいは「写真」、「iMovie」などのクリエイティブアプリでの手描き機能の採用など、新たな機能の追加によって、Apple PencilとiPadの関係をより密接なものに変化させたほうが良いだろう。

  • 多様なアプリへの対応も課題

例えば、iMovieに、字幕を手描きアニメーションで挿入する機能が搭載されれば、「Instagram」や「Snapchat」の「ストーリーズ」に投稿する素材を作成するアプリとして可能性が生まれる。これまでどうしても静的なコンテンツの作成に終始していたApple Pencilの用途を、動的なコンテンツにも活用できるようにすることで、反応速度が速い製品のメリットを生かすことができるようになるはずだ。