古くて四角いボルボが好きな人も多い

ブランド自体の強化策となるのが、クラシック・ガレージの開設や、古いクルマの博物館への寄贈、ボルボスタジオ青山の開店といった取り組みである。

クラシック・ガレージは2016年8月に、東京・町田市に開設した古いボルボ車のための整備や修理を行う拠点だ。「ボルボを所有されるお客様は良いものを永くお使いになる方が多いので、古いクルマの保守管理を提供する拠点づくりをしました」。木村社長はボルボ所有者の特性をいかす取り組みの一環であると説明する。

古いクルマを復刻するレストアとはやや意味を異にするが、スウェーデン本社には旧型の部品も残されている物が多く、かなり古い年式の車種でも日常的に利用可能な水準に整備したり、外観を補修したりできる体制が整えられた。木村社長自身、1971年型のボルボ「P1800E」を所有し、催しなどの折に乗ってくる。

  • ボルボ「P1800E」

    古いクルマに長く乗り続ける顧客も多いというボルボ。町田市にあるボルボ・カーズ東名横浜には、そういったクルマのリフレッシュ作業を請け負う「KLASSISK GARAGE」(クラシック・ガレージ)を開設した(画像は木村社長が所有する「P1800E」で伊勢志摩のラリーイベントに参加した時の様子、提供:ボルボ・カー・ジャパン)

他に、クラシック・ガレージで引き取った古い車種を整備し、中古車として販売することも行っている。クラシック・ガレージの拠点は町田の1店舗のみだが、国内各地のボルボサービス工場での修理や補修の相談にものってくれる。

博物館への寄贈では、世界で初めて3点式シートベルト(肩からと腰にベルトを付ける今では一般的な方式)を標準装備したボルボ「PV544」を昨2017年12月にトヨタ博物館へ届けた。

  • ボルボ「PV544」

    世界で初めて3点式シートベルトを標準装備したボルボ「PV544」(画像提供:ボルボ・カー・ジャパン)

「3点式シートベルトを開発したのはボルボであり、その特許を公開することで今日、全てのクルマが安全装備の基本として装備するようになったことをご存知の方は多いと思いますが、トヨタ博物館にはボルボが1台も展示されておらず、それならば意味のあるクルマを展示して頂こうと、スウェーデンの本社へ交渉しました。また、現在のトヨタ博物館の館長がかつての同僚でしたので、話もうまくまとまりました。後日、トヨタ時代の先輩から、3点式シートベルトのことを当時は『ボルボ式』と呼んでいたといった話を聞くこともできました」