NECは、耳穴の形状の個人差を音で測定する独自のバイオメトリクス認証「耳音響認証」の強化技術として、人間の耳には聴こえない音(非可聴音)で個人を認証する技術を開発したと発表した。これにより、ユーザの行動や作業の妨げにならない常時認証によるセキュリティの向上を実現する。

  • 人間の耳には聴こえない非可聴音を送出し、その反射音から個人を認証

    人間の耳には聴こえない非可聴音を送出し、その反射音から個人を認証

同技術開発は、NECと長岡工業高等専門学校の協力によるもので、同開発成果は、埼玉県の日本工業大学宮代キャンパスにて開催される「日本音響学会2018年春季研究発表会」において、3月13日に発表される予定となっている。

生体情報で本人を確認できるバイオメトリクス認証は、認証の速さと正確さ、高い利便性を有しており、セキュリティ分野での利用が拡大している。なかでも、耳を使った耳音響認証は、始めに認証を行った後も継続的に認証することで、その後のユーザのすり替わりを防止できる。また、ハンズフリーで認証可能なため、作業中の場面でも継続して本人の確認が可能となっている。しかし従来の耳音響認証は、常時認証する場合、人間の耳に聞こえる音(可聴音)が出てしまうため、作業や思考の妨げになる、周囲の音が聞き取れない、ユーザに不快感を与えるなど、快適性に課題があった。

  • 個人によって異なる耳穴の形状の違いを可聴音と非可聴音で測定

    個人によって異なる耳穴の形状の違いを可聴音と非可聴音で測定

今回開発された耳音響認証技術では、人間の耳では聞こえない高周波(18~48kHz)の音を耳穴(外耳道)に送出し、反射音としてとらえた30〜40kHzの周波数帯を分析して個人の特徴を抽出する。しかし、高周波の音は、周囲の電気機器やイヤホン自体が発する高周波ノイズの影響を受けやすく、また外耳道の壁面に吸収されやすいため反射音の取得は容易ではない。そこで、複数回分の特徴を平均することにより本来の外耳道の音響特性を強調したり、隣接する周波数をまとめた上で音響特性を平滑化したりすることで、ノイズの影響を低減し、イヤホンの設計についても、マイクやスピーカーの形状や配置、構造などを工夫することで、高周波の音響特性の正確かつ安定的な測定を実現したという。

同技術により、イヤホンの着脱があっても、99%以上の高精度な認証精度とより快適な使用感を備えた耳音響認証を実現できるようになる。そのため、重要インフラ施設の保守・管理や警備などでの安全・安心に関わる業務でのなりすまし防止や、医療現場やコールセンターなどでのハンズフリー認証による業務効率化、さらに人々の生活に密着したスマートイヤホン領域などへの応用が期待でき、2018年度の実用化を目指すということだ。