NTTドコモ(以下、ドコモ)は、建設現場の工期を遵守しながら働き方改革を実現するため、ヒト・モノデータ+AI分析技術を用いて、建設現場状況をリアルタイ ムで共有する「建設現場IoTプラットフォーム」(以下、建設IoT-PF)のβ版を、3月1日よりゼネコン向けに提供を開始することを発表した。

  • 「建設現場IoTプラットフォーム」β版の概要

    「建設現場IoTプラットフォーム」β版の概要

建設業界では現在、労働力不足や労働環境の改善、労働生産性の向上など課題がクローズアップされ、建設現場での働き方改革が求められている。一方で、建設現場では複数の判断要素(工程・品質・安全・原価など)を同時に考慮した複雑な現場管理が重要で、工期を遵守しながら働き方改革を実現するには、建設現場における管理ノウハウを形式知化し、人と人をつなぐタイムリーで正確な判断材料が必要となっている。

ドコモは2017年、2か所の建設現場で職員・職人同士のコミュニケーションツールのほか、職員・職人の位置情報・バイタル情報、建設現場の環境情報などを組み合わせた実証実験を実施した。この実験では、取得した各種データから、作業進捗率の予測や労働時間の内訳分析、体調不良の予兆検知など、さまざまなAI分析技術を活用してその有用性を検証してきた。

その結果、書類作成・現場巡視・段取り打合せなどの進め方改善により、ゼネコン職員ひとりあたり最大2h程度/日の労働時間削減余地があることが判明した。加えて、体調不良・高負荷作業による疲労・精神的な不調などの予兆検知が可能であったことも確認した。

このたび提供を開始する建設IoT-PFのβ版は、実証実験で構築したヒト・モノデータ+AI分析技術を用いて、建設現場の工程・品質・安全・原価管理に寄与するトータルソリューションとしてゼネコン各社に提供し、現場課題の棚卸から解決に向けた検討を各社と共同で進めていくという。

合わせて、作業進捗率の予測高度化、コミュニケーションログからのノウハウ抽出、音声による入力操作の省力化、画像による施工品質の判定、機材稼働率の推定、労働時間着地見込み推定など、「corevo(コレボ)」をはじめとしたAI分析技術の活用で建設IoT-PFを高度化させ、建設現場全体の最適化による現場生産性の向上を目指すということだ。

今後は、建設IoT-PFの取得データを活用した様々な価値を建設現場に関わるプレイヤーに対し提供していくためのパートナーとして、アクセンチュア、NTTファシリティーズ、MCデータプラス、オートデスク、コンストラクション・イーシー・ドットコム、ランドログの各社と協業していくとしている。