ANAも加入しているスターアライアンスは2月20日、加盟航空会社28社の利用者へさらに快適な旅を提供するための戦略の一環として、デジタルサービス・プラットフォーム(以下、DSP)をアクセンチュアと共同開発し、サービスを開始すると発表した。

  • DSPの導入時期は加盟各航空会社に委ねられており、サービスごとに導入の選択が可能

    DSPの導入時期は加盟各航空会社に委ねられており、サービスごとに導入の選択が可能

DSPは、加盟航空会社が個別に保有するデータと第三者から提供されるデータをひとつにまとめ、加盟航空会社がそのデータを共有することができるプラットフォームのこと。加盟航空会社は、共有されたデータを自社の顧客向けのウェブサイトやモバイルアプリなどに組み込むことが可能となる。将来的には、どの加盟航空会社も加盟航空会社間の必要な情報を入手でき、自社の顧客向けのウェブサイトやモバイルアプリを通じて顧客に情報を提供できることを目指している。

スターアライアンスは、ほとんどの航空利用頻度の高い顧客は主に利用する航空会社をあらかじめ選定しており、その航空会社のアプリまたはウェブサイトで全ての旅程を管理したいというニーズがあると考察し、そのニーズに応えるためにデータの一元管理機能を構築した。

DSPの導入時期は加盟各航空会社に委ねられており、サービスごとに導入の選択が可能となっている。まずは、「他社航空会社の事前座席指定」と「他社航空会社の手荷物の追跡情報の共有」を皮切りに、今後サービス内容を順次拡大していく予定となっている。

2月2日に導入された座席選択機能では、ユナイテッド航空の顧客がユナイテッド航空のアプリを使って予約したシンガポール航空運航便の事前座席指定ができるようになった。顧客は、今まではチェックイン時にしか座席予約ができなかったが、今回のサービスで利便性が大幅に向上される。

また、2017年12月5日にルフトハンザ航空では、顧客がルフトハンザのアプリを使って、2016年末から収集しているスターアライアンス加盟会社のフライトを含めた手荷物の追跡情報をDPS経由で確認できるサービスを開始した。

アクセンチュアはDSPの開発・実装に加え、スターアライアンスが顧客からの声を分析し、サポートする作業を委託している。DSPは開発にあたり、ドイツ・クロンベルクにあるアクセンチュア・リキッド・スタジオにて、ユーザーの意見を論理性・想像力・直感・体系的思考で検討する「デザイン思考」手法を取り入れた。

DSPの開発では、顧客の視点から機能を考え、プロトタイプ化し、そしてその内容を反映した開発することを重視した。特に複数のスターアライアンスの航空会社を利用する際のサービス上の課題を特定し、改善することを目標にしている。

アクセンチュアの旅行産業部門で技術コンサルティングを担当するロバート・ ジペル氏は、「お客様にシームレスな旅行体験を提供できるかは、その航空会社が航空業界、旅行業界、観光業界全般との連携がどれだけできるかで決まる。リアルタイムのデータ交換や標準化されたアプリをタイムリーに提供することで、複数の航空会社が絡む旅行体験の質を高めることが重要。スターアライアンスのDSPはこうしたコラボレーションを可能にするシステムと言えるでしょう」とコメントしている。

スターアライアンスはDSP以外にも、IT技術を活用したロイヤリティ向上を目的にしているサービスを提供。例えば、搭乗後のマイレージ事後登録の積算までの期間を短縮するために、スターアライアンス加盟航空会社間のそれぞれのフリークエント・フライヤー・プログラム(以下、FFP)を介して、オンラインで積算できるサービスを構築してきた。今般新たに、2018年末までに、加盟航空会社のFFPウェブサイトで、スターアライアンス全28社のフライトの空席情報の確認や特典航空券の予約ができるようになる。