「eSIMスマホ」でMVNOの弱点を補完へ

サポート体制強化の次のステップとしてMAYAが見据えるのが、FREETELの開発能力を活かした「海外eSIMスマートフォン」の実現だ。

すでにMAYAが販売するWi-Fiルーターは、eSIMを利用して海外の現地キャリアに接続するサービスを提供している。この技術をスマートフォンに搭載することを目指しており、今夏の提供に向けてテストに着手しているという。

  • 今夏にも「海外eSIMスマートフォン」を提供へ

メリットは、国内のMVNOが提供していない「海外データローミング」を補完できる点にある。eSIMスマホが実現すれば、国内ではMVNOの格安SIMを使いつつ、海外では現地キャリアの安価なデータ通信を使う、「いいとこ取り」が可能になる。

その中核となっているのが、POMからMAYAに移籍した端末開発部隊だ。発表会ではPOM時代から開発を進めていた新製品として、デュアルカメラ搭載の「REI 2 Dual」や、低価格機の「Priori 5」を発表した。資金繰りの悪化によりお蔵入りになりかけたところを、MAYAの支援や関係者の尽力で発売にこぎ着けたという。

  • POM時代から開発を進めてきた「REI 2 Dual」

特徴は、従来のFREETEL端末のようにODM企業のベースモデルを改良するのではなく、初めて自社で端末を設計した点にある。POM時代から取り組んできたソフトウェアの改良も進んでおり、着実にレベルアップしている印象だ。

MAYAも認める通り、SIMフリー市場での生き残りは容易ではない。だが「eSIM」という特徴を活かした事業展開が軌道に乗れば、グローバルの端末メーカーとはひと味違う存在になりそうだ。