科学コミュニケーターの高橋明子です。寒くて布団から出るのがつらい日が続いていますが、皆さんお元気でしょうか?

さて、インフルエンザがただいま大流行しています。

高熱、のどの痛み、関節の痛みなどなど、つらいですよね。

そして出勤・登校・登園停止の期間も結構な日数になるので、これまた大変です。

昨シーズン、我が家にもインフルエンザがやってきて、夫と子供が感染し、一家全滅の危機。幸運にも私は何とかかかりませんでしたが、家庭内で感染者が出た場合、どうしたら感染を防げるのでしょうか?

一般的にインフルエンザにかからないようにするには、

①感染経路を断つ、②予防接種を受ける、③免疫力を高める

などのことが大切、と言われます。 これに沿って家庭内での対策を考えていきたいと思います。

①感染経路を断つ

インフルエンザにかかるのは、病気の原因であるインフルエンザウィルスが体内に入り、増殖してしまうためです。ですから、まずはウィルスを体内に入れないようにしよう、という対策です。

インフルエンザウィルスは飛沫感染、接触感染により、体内に侵入してきます。

飛沫感染は、咳やくしゃみでウィルスを含む唾液の飛沫が飛び散り、それを別の人が吸い込んでしまう感染経路です。ではこの経路からの侵入を防ぐには、どうしたらよいでしょうか?

答えはとてもシンプルで、「とにかく離れる」「マスクの着用」。

咳やくしゃみの飛沫の飛距離は、だいたい1mくらいです。そのため、安全を見越して2mくらい患者から離れておくと、飛沫を吸い込みにくいといわれています。

基本的には看病のとき以外は、患者を隔離(部屋を分ける)し、飛沫を浴びないようにします。

また、感染症の専門家である国立国際医療研究センターの感染症の専門家である堀成美さん、具芳明さんによれば、食事などで同じ部屋で過ごす場合、患者が壁際で壁に向かって座る、といった工夫も有効だそうです。

同じ食卓を囲むと、どうしても距離が近くなりがちです。なるべく距離を取り、顔の向きを互いに真正面にしないようにすることで、飛沫を吸い込むリスクを減らすことができるようです。

眠るときも別室にするのが理想ですが、同じ部屋であれば、枕の向きをそろえて並んで寝るのではなく、互い違いにするだけでも、相手の顔からの距離がとれるようになります。

そしてマスクの着用も大事です。飛沫はマスクの布目に引っかかるので、マスクを通り抜けにくくなります。

患者、家族の両方がマスクを着用することで、患者からの飛沫の飛び散りと、飛び散った飛沫を家族が吸い込むことの両方を防ぐことができます。

一方、接触感染は、咳やくしゃみでウィルスを含む唾液の飛沫や鼻水が手などにつき、それがドアノブなどの共用部を介して他の人に広がっていく感染経路です。

この経路での感染を防ぐには、予防の定番「手洗い」「マスク」が有効です。

私たちは身の回りの色々な場所を手で触ります。ドアノブ、テーブル、食べ物、洋服などなど。

患者のウィルスが付着しているかもしれないものばかりです。そしてその手で、目や髪の毛、口元、頬、鼻など、自分の顔まわりも触ります。

もしウィルスが口などに入れば、感染につながります。看病をした後は、手を洗ってウィルスを体内に入れないようにしてください。このとき、タオルは患者と共用にしない方がよいです。手洗いが不完全な場合、タオルにウィルスが移り、タオルを介して家族に感染が広がる可能性があるためです。

さらにマスクを着用することで、患者の咳やくしゃみの飛沫が手に付着することや、看病する人の口にウィルスが入り込むことを防ぐことができるため、接触感染のリスクを下げることができます。

② 予防接種を受ける

予防接種もインフルエンザ対策に有効です。予防接種をすることで、あらかじめ病原体と戦うための体の準備ができます。

ただ気をつけないといけないのは、他の病気のワクチンと違い、インフルエンザワクチンの接種は発症を完全に抑えるものではない、という点です。

実際、ワクチン接種したのにインフルエンザにかかる方、結構いますよね。私も昨年ワクチン接種をしていたものの、看病しながらちょっとでも体調を崩したら発症しそう...と思いました。

え?じゃあ何のために打つの?と思いますよね。重症化や合併症を防いだり、発症をある程度抑える効果は認められています。 だからこそ予防接種に加えて、①のように「なるべく体内にウィルスを入れない」対策やこのあとの③が大事になってきます。

③ 免疫力を高める

体の中に入ってきたインフルエンザウィルスを迎え撃つのは体の免疫システムです。十分な睡眠、食事をとることで、免疫が十分働けるようにする必要があります。

看病は体力を使いますが、自身の体調の維持にもお気を付けください。 また加湿や水分補給も有効です。鼻・喉の粘膜細胞が乾燥すると、侵入してきたウィルスなどの異物を排出する力が弱くなります。

と、一通り書いてみましたが、なかなか慌ただしい看病の中で全部を完璧にやるのは難しいです。

子供が小さくて寝室を分けるわけにいかない、寝ている間に子供がマスクを取っていて咳を至近距離で浴びる、などなど、実際我が家でも起きました。

とはいえ、小さな積み重ねがインフルエンザの発症を防いだり、万が一発症してしまったとしても重症化を防ぐことにつながるかもしれません。

参考文献

・首相官邸ウェブサイト https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho2013.html

・政府インターネットテレビ「インフルエンザ 看病する時 される時」 https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg16301.html

・国立感染症研究所「インフルエンザとは」 https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/219-about-flu.html

・厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/index.html

・「感染症から知るウィルス・細菌1 感染症の芸人を知ろう!-なぜかかる?なぜうつる?-」 学研教育出版

・「知って防ごう かぜとインフルエンザ 鼻かぜから新型インフルエンザまで」少年写真新聞社



Author
執筆: 髙橋 明子(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
子供のころから生き物が好きで研究に没頭し、色々な場所で色々な対象相手に研究をしていました。前職では宮崎県の幸島でニホンザルを追いかけていましたが、社会の中で研究はどうあるべきなのかを考えるため、2016年4月より未来館で勤務しています。