好きな人と一緒にスタートする同棲生活は、期待が膨らみますよね。でも、中には「喧嘩ばかりにならないかな……」と不安を感じている人もいるかもしれません。そこで、『小さな家の間取り解剖図鑑』の著者であり、一級建築士の本間至さんにインタビュー。2人の生活にぴったりの間取りの決め方を教えていただきました。

  • 間取り

同棲生活のためのおすすめの間取りを教えてください。

「実は、おすすめの間取りはコレというものを提案することは難しいのです。一般的に人の生活の基本は四つ。『食べること』、『寝ること』、『体や顔、洋服などを洗うこと』、そして『排せつすること』です。まず、それぞれを行う空間に仕切りが必要かどうかを考えてみましょう。極端な話、1人ならばすべて露出していてもかまわないという人もいるかもしれませんが、2人だとそうはいかないですよね。だから2人それぞれのプライバシーを守りたい部分、共有できる部分について共通の認識を持っておくことが大切なのです。例えば、寝る場所を共有できるかどうか。以前は年配の方に多かったのですが、今は若い方の中にも寝室は別々で持ちたいという人が増えてきました。エアコンの温度や照明の加減などの適正が、2人では異なるためです。そうなると寝室が2つ必要ということになります。こういったことは、個人差があり“一般的”という言葉ではくくりにくいもの。2人で“自分たちの生活”にどんな間取りがぴったりなのかを話し合ってから、部屋探しを始める必要があるのです」

間取り選びで気を付けたほうがよいポイントはありますか。

「上記以外では、生活動線をまとめることです。洋服を収納するスペースは、できれば2人一緒にまとめておけば、洗濯物を取り込んだあとが楽になりますよね。それ以外にも実生活を想定して、間取りを見るということは大事です」

予算の都合上、どうしても理想の間取りが難しい場合はどうすればいいでしょうか。

「市販品をうまく使うようにしましょう。収納なら、今は多くの収納グッズが販売されています。さらに市販の棚などを間仕切り代わりにして、プライベートスペースを作ってしまうことも可能です。ダイニングが狭いなら、テーブルを島のように配置するのではなく、壁などに片面をくっつけてカウンターのように2人が横並びで食事を楽しめるようにするのもいいですね」

  • 喧嘩ゼロ 同棲 

同棲生活をする部屋にあると便利な機能はありますか。

「おすすめは食洗機です。2人分の洗い物1日分を、夕食後に一気に洗うことができます。それぞれ仕事や学校などで日中はバラバラで過ごしているでしょうから、疲れて帰ってきて、さらに食器を2人分洗わないといけないと思うとゾッとしませんか(笑)。食洗機があれば、食器洗いに使う時間を2人のコミュニケーションタイムにすることができますよ。あとは浴室乾燥機もいいですね。なければ除湿機を1台購入して、洗面所など小さい空間に設置しておけば雨の日でも洗濯物がある程度乾くのでおすすめです」

育ってきた環境が違う2人が新たに同じ空間で生活を始めるのだからこそ、事前の話し合いが大切。お互いを尊重し合いながら、自分たちらしい生活ができる部屋で、喧嘩ゼロの同棲生活を目指しましょう。

本間至さんプロフィール
一級建築士で、東京都世田谷区にある建築事務所、有限会社ブライシュティフトの代表を務める。「暮らしから考える家づくり」をコンセプトに、飽きの来ない住空間づくりに定評がある。「小さな家の間取り解剖図鑑」「最高に楽しい【間取り】の図鑑」などの書籍も執筆している。
有限会社ブライシュティフトHP http://bleistift.jp/about_us