「笑うだけではダメ」モー娘。小田さくらが考えるトップに立つために必要なこと

1998年1月28日のデビューから20年を迎え、2月7日にはモーニング娘。20th名義でミニアルバム『二十歳のモーニング娘。』を発表。結成メンバーと現メンバーのコラボレーションが実現。現在進行形のモーニング娘。18では配信シングル「花が咲く 太陽浴びて」をミニアルバム発売に先駆けてリリース。グループ随一の歌唱力を誇る小田さくらにインタビューした。

モーニング娘。18で活躍中の小田さくらは、2012年の「11期メンバー『スッピン歌姫』オーディション」でグループに加入したメンバーである。プロデューサーのつんく♂いわく「松浦亜弥や高橋愛と並び、ハロー!プロジェクトの歴史でベスト3に入る歌唱力」という言葉が示すように、その力強いヴォーカルはグループ内で突出しているが、彼女自身は自分のことを努力の人だという。「歌のオーディションで合格したというと、生まれた持った才能でしょと思われがちなんですが、私はもともと歌が苦手だったんですよ。そこから頑張って鍛えてきた。後輩たちに対して、誰でも時間をかければできるんだ!ということの示しになりたいので、昔も今も努力は怠らないようにしてます」。その直向きさの裏側には何があるのか、インタビューを通して探ってみた。

干渉し合う相手がいないのは強みだと考えるようになった

─小田さんは11期メンバーで同期がいないんですよね。

小田 モーニング娘。の歴代メンバーの中で同期のいない1人加入は、私で3人目なんです。後藤さん(後藤真希:3期)、久住さん(久住小春:7期)、そして私。今一緒にやってる14期の森戸知沙希ちゃんも1人加入ですけど、ハロー!プロジェクトに同期が20人くらいいますし、実質的には12期と同期扱いなんですよ。だから私の中では1人というより同期に囲まれてる子という認識です。

やっぱり最初はうらやましかったです。4人、4人、1人、4人と同期ごとに分かれていた時期では、何をするにしても――例えば、お弁当食べようと思って稽古場入ったら、4人のグループが3つできていて、自分はどこにも入れないんだなぁと思ったり、同期で揃って歌うパートが皆にはあったり、「ああ、私は1人なんだ」って思ってました。ただ、最近になって自分がグループの中で先輩の部類に入ってきたからなのか、干渉し合う相手がいないっていうのは、すごく強みだなと考えるようになったんです。いつでも誰でも同じ目線で見られる。中間管理職的なことをしっかりやるようにしなきゃいけないと思ってます。先輩チームの意見と後輩たちの考えをつなぐことが、自分の役割だと。同期がいないからこそ、全員の意見をフラットに聞けるんです。


モーニング娘。18「ジェラシー ジェラシー」(Morning Musume。18[Jealousy Jealousy])(Promotion Edit)

─その広い視野っていうのは、昔からあったものなんですか?

小田  いえ、最初は自分のことばかり考えるタイプだったんですけど(笑)、変わろうと思ったのは12期(尾形春水、野中美希、牧野真莉愛、羽賀朱音:2014年加入)が加わった頃です。そのときは、とにかく笑顔でいるようにしたんです。例えば、リハーサルでバチバチにぶつかり合っている状態になったときでも、そのまま押し通すんじゃなくて自然にその場を変えられる人になりたくて。その結果、一つのことに熱くなりすぎず物事を見られるようになりましたし、人に優しくできるようになりました。

今振り返ると、12期が入った後に道重さん(道重さゆみ:6期)が卒業したのも大きかったです。道重さんのおかげもあって、あの頃はみんな無邪気で楽しそうにしてたと思うんですよ。だから卒業した後、いかにその影響を引きずらないようにするかってことは考えました。でもファンの方に「ワンフォー(モーニング娘。14)が一番好き」と言われることが今でも時々あって、それがすごく悔しいんです。私としては当時と比べたら歌もダンスもクオリティが上がってるし、自分の中で頑張ってキレイになったという気持ちもある。だからそうやって言われたら「ワンフォー、楽しかったですよね!」と返しますけど、同時に「今が一番幸せなんです!」ってことを伝えるようにしています。先輩しかいないときには考えられなかったことなんですが、私も後輩のことをこんなに可愛がったりするんだなぁと今の自分に驚いているところです(笑)。

─小田さんの中での内側の変化というのは、パフォーマンス面でも何か影響を与えましたか?

小田 そこは切り離してるかもです。今でも歌うときのポーズとかは研究してますし、スタイルが突出していいわけではないので、キレイに見えるようにするにはどうしたらいいんだろうって。でも、かわいくなりたいと思って最初に取り組んだのは、悪口を言わないようにするとか、人のことを肯定してみるとか、内側のことが多かったです。


Photo by Yoko Yamashita

─変わろうと意識した結果、すべてがいい感じに作用したんですね。

小田 ただ、よくないことがあっても笑って、優しく接するというだけじゃダメだなってことを去年一年かけて学びました。常に笑ってることが許されたのは、後輩という立場だったから。小田ちゃんはいつでも笑ってて我慢強いねって先輩から言われるのはいいとしても、後輩から同じように思われるのはきっとよくないことだろうと思って。あと、緊張感は必要だと思うんです。過去、ピリッとした雰囲気をいつでも誰かが出してくれていたので、その雰囲気は壊しちゃいけないなと。リハーサルが楽しいだけじゃダメで。私たちはプロで、何を届けるために歌とダンスをやっているのか感じながら表現をしなければいけない。仲良いのはいいんですけど、プロだったら仲の良さよりお互いの信頼関係とリスペクトが大事なので。そういうことを全員で共有できたらいいなと思います。

工藤さん(工藤遥:10期メンバーで2017年卒業)がなんでも言う人だったんですよ。だから工藤さんがいなくなって、何も言われないから別にいいやって思われないように、今はいろいろと言うようにしていて。でも自分の考えてることが本当に正しいのかどうか分からないときは、一度先輩に相談したりしてます。


武道館コンサートの最中、工藤遥から言われたこと

─昨年の武道館の工藤さんの卒業コンサートだけでなく、鞘師さん(鞘師里保:9期メンバーで2015年卒業)の最後の武道館コンサートも観たのですが、いずれも自分としては小田さんのヴォーカルと存在感が印象に残りました。感傷的なムードが漂う中、ストイックにステージに臨む姿が鮮烈で。

小田 ありがとうございます。モーニング娘。18は小田ちゃんがいるから大丈夫!と思われたいですし、ファンの方の信頼を裏切りたくない。自分はモーニング娘。18の核心でありたいし、全員じゃなくてもファンの方の何割かがそう思ってくれたらうれしいです。工藤さんの卒業コンサートで、MCで工藤さんと個別に挨拶するとき、最後にハグした際に耳元で「任せたよ」って言われたんです。私は工藤さんに任せてくださいって言うつもりだったんです。だから「あ、先に言われちゃった」と思って(笑)。お互い思ってることは一緒だったんだろうなぁと思うんですけど、私は「はい、大丈夫です。任せてください」と答えました。そしたら「いつでも連絡してきて」と言われて。たぶん、私の「大丈夫です」という発言にこめられたものをいろいろ感じ取って、そう言ってくれたんだと思うんですけど、あらためて優しい人だなと思いました。今は工藤さんに任されたんだから頑張ってやらなきゃ!という感じです。


モーニング娘。18「若いんだし!」(Morning Musume。18 [Youre Young Anyway!])(Promotion Edit)

─去年の武道館では、小田さんと並んで佐藤さん(佐藤優樹:10期)の存在感も凄かったです。この2人のパフォーマンスが、今後のモーニング娘。18の”ライブ力”を牽引していくエンジンになると思ったんですが、小田さんは佐藤さんに対してどう思っていますか?

小田 佐藤さんは先輩なんですけど、だからといって私が一歩引いてるという見られ方はしたくなくて、今はお互いに負けないぞと思いつつ尊敬しあっている感じです。でも、佐藤さんに負けたくないって思うこと自体が悔しいから、常に負けてないと思っていたい。逆に簡単に勝ったと思わせてほしくないし、向こうもそう思ってる気がします。別に仲良しじゃなくてもいいんです。仲悪いのはイヤですけど、悔しいけどカッコいいとか、悔しいけどやっぱり歌が上手いとか、それくらいの距離感がちょうどいい。もちろん、メンバーのことは全員すごく好きなんですけどね。

─表現者にとっては素敵な関係性ですよね。お互いに高め合えるから。

小田 凄いセンスの塊なんですよ。なんでもできちゃう人だから、ちょっと覚えただけで簡単に自分のものにしてしまう。ダンスにしても、どうやったらあそこまで身体を自由に操れるんだろう、私はどれだけ練習したら彼女のレベルにまで追いつけるんだろうって。佐藤さんが天才肌なら、私は時間をかけて追いついてやろうと思います。


モーニング娘。18「邪魔しないで Here We Go!」(Morning Musume。18[Dont Bother Me, Here We Go!])(Promotion Edit)

─最近、小田さんのセクシーさが凄いとファンの間では話題になってるんですが、その点で何か努力していることはありますか?

小田 グループ内に「かわいい」というジャンルの人がたくさんいる状況で、自分よりかわいい人ばかりなんだから、私にそのジャンルは無理だなと思って(笑)。それだったらカッコいいとか、色っぽいとか、そういう方が自分には向いてるかもしれないなと。例えば、前髪を伸ばすだけで変わるんですよ。パフォーマンしてるときに髪が邪魔だから首を傾けたり手で掻き上げたり。そしたら急に色気が出てきたとか、セクシーだったよって言われるようになって、そういうことなのかと。じゃあ、よりセクシーに見えるにはどうしたらいいだろうってことで、少女漫画をいっぱい読んだり、ドラマに出てくる大人の女性を観察してみたり、友達の話を聞いたり、そういうのを元に頑張って表現してます。そもそも恋愛が遠い場所にあるので、愛とか恋とかをセクシーに歌うっていうのはかなり難しいんですよ。あとは女性アーティストさんでセクシーに歌ってる人を見て、「なるほど、首筋がポイントかぁ」と勉強したりしてます(笑)。

─モーニング娘。はメジャーデビュー20周年を迎えましたが、モーニング娘。18の一員としてその事実をどう受け止めていますか?

小田 この20年間という時間は、いろんな人がつないでくれたもので、誰かが一秒でも違う時間の過ごし方をしていたら成立してなかったと思います。それに対する敬意を忘れずに、モーニング娘。の先輩方にいつでも太鼓判を教えてもらえるように過ごしていたいなと。いろんな人から愛されたいという気持ちを持って、与えられたことをしっかりこなしながら、メンバー同士が尊敬しあえる感謝を忘れないグループでありたいと思います。


モーニングコーヒー(20th Anniversary Ver.)/モーニング娘。20th


花が咲く 太陽浴びて/モーニング娘。18


Photo by Yoko Yamashita

小田さくら
1999年生まれ。神奈川県出身。2011年にハロプロエッグに加入し、2012年のモーニング娘。秋ツアーの公開オーディションで合格。同年9月14日にハロー!プロジェクトに加入し、モーニング娘。の一員となった。2014年1月1日よりアーティスト名の後ろに、西暦の年号を入れて表記するのに伴い、2018年1月1日よりアーティスト名が「モーニング娘。18(もーにんぐむすめ わんえいと」に改名。現在はモーニング娘。18の小田さくらとして活動中。

モーニング娘。18 OFFICIAL HP
http://www.helloproject.com/morningmusume/



『二十歳のモーニング娘。』(初回限定盤)モーニング娘。20th

『二十歳のモーニング娘。』(通常盤)モーニング娘。20th