東芝デジタルソリューションズ(TDSL)は、千葉大学フロンティア医工学センターの林秀樹教授、医学研究院先端応用外科学の松原久裕教授、医学部診断病理学教室の松嶋惇助教らの研究グループと、AI(人工知能)による病理組織画像からの胃がんのリンパ節転移巣検出の共同研究を開始したことを発表した。

  • 胃がんのリンパ節転移(リンパ節のHE染色組織像:実線で囲まれた部分が転移組織)

    胃がんのリンパ節転移(リンパ節のHE染色組織像:実線で囲まれた部分が転移組織)

日本人の死亡原因の1位は、男女共に悪性新生物(がん)で、そのうち胃がんが男性では肺がんに続いて2番目、女性では4番目に多い部位となっている。

がん罹患者数では、胃がんは男性では1位、女性では3位と多い一方で、5年相対生存率は男性65.3%、女性63.0%と早期治療により治る可能性も高く、手術後の機能をいかに温存するかが重要である。

今回の共同研究では、HE染色法により処理された転移リンパ節組織像をAIで学習し、病理専門医と同等か、あるいはそれ以上のレベルでの転移診断がAIによるアシストで可能であるかの検証を行う。

この共同研究の成果により、転移診断のAIによるアシストの有効性が高ければ、病理専門医の負担を大幅に軽減するばかりでなく、将来的には胃の機能を温存した縮小手術により、術後のQOL(Quality Of Life)の向上も期待される。

TDSLは、この共同研究を通して、病理専門医が持つ高度な診断の知見をデジタル化し、東芝アナリティクスAI 「SATLYS(サトリス)」を活用したがん治療サポートの高度化への貢献を目指すということだ。