2017年末の投資信託の純資産残高は111兆円となり、2年振りに過去最高を更新しました。世界同時株高で運用成績が改善したうえ、個人マネーの流入も加速していることが背景にあるようです。人どんな投資信託が高い収益をあげたのか見ていくことにしましょう。

◆2017年の個人投資家は意外と儲かっていない?
2017年は世界30ヵ国以上の市場で株価指数が過去最高を更新しています。日経平均株価も26年振りの高値を付けていることから、個人投資家の運用成績も好調だったといいたいところですが、主体別売買動向から判断するとあまり資産は増えなかったようです。なぜなら、2017年は日本株を投資対象とする投資信託が軒並み好成績をあげているのですが、個人は国内株式型投資信託を年間1兆円以上売り越しているのです。

投資信託ではありませんが、個別株も5兆円以上売り越しているのです。筆者は日頃からマーケット関係者、メディアの方々と話をする機会が多いのですが、やはり個人が儲かったという話をあまり見聞きしませんでした。好調な株式市場に乗れなかったのが、大多数の個人投資家と言えるのかもしれません。

ただ、2017年の個人投資家の動きを見ると、日本株型投資信託、REITを投資対象とする投資信託はともに1兆円以上売り越し(資金流出)した反面、海外株式型投資信託は4兆円近く、バランス型投資信託も1兆円近く買い越し(資金流入)しています。短期的な収益を狙うよりも、中長期で資産形成を行っていく投資スタイルに変わりつつあると言えるのかもしれません。

ちなみに、2017年に多額の資金流入があった投資信託は、野村インド株投資(野村アセットマネジメント)、グローバル・ロボティクス株式ファンド(日興アセットマネジメント)などに多額の資金流入があったようです。

◆2017年は日本株投資信託が大躍進
2017年、最も騰落率が高かった投資信託はJPモルガン・アセット・マネジメントが運用する「JPMジャパン・テクノロジー・ファンド」でした。年間の騰落率は105.70%ですから、1年で投資資金は倍になった計算になります。掲載している騰落率ランキングベスト10には「ブル・ベア型ファンド」を除いていますが、ブル・ベア型を入れてもNO1、かつ騰落率は唯一100%以上ですから素直に拍手すべきでしょう。

同投信は、市場を問わずテクノロジー関連企業の株式の中から、企業の成長性に着目し、かつ株価水準が割安と判断される銘柄を中心に投資されます。設定から既に18年超の長寿投資信託が再び復活の狼煙をあげたと言えるでしょう。設定来の騰落率は313.5%(2017年11月末)で、ベーチマークであるTOPIX(配当込み)を230%アウトパフォームしています。

第2位は、明治安田アセットマネジメントが運用する「小型株ファンド」です。騰落率はわずかに100%を下回る、96.18%でした。この小型株ファンド、運用は明治安田アセットマネジメントですが、実は黒子として投資助言会社があるのです。公募投資信託の運用は行っていないためあまり知られていないかもしれませんが、その実力は驚愕に値すると言えるでしょう。

その投資助言会社名は「エンジェルジャパン・アセットマネジメント」。同社が助言する投資信託は、3位の日興アセットマネジメント「日興グローイング・ベンチャーファンド」、4位のSBIアセットマネジメント「SBI小型成長株ファンド」、8位のSBIアセットマネジメント「SBI日本小型成長選抜ファンド」と4本もランクインしているのです。ランキングを15位まで広げれば、同社が助言する投資信託はさらに2本増えるのです。

騰落率ランキングなどで投資信託の名が知れると、投資資金が急激に増えて運用に影響を与えた例が過去たくさんありました。エンジェルジャパン・アセットマネジメントが投資助言を行う投資信託が同じ憂き目に合うかは定かではありませんが、その勢いが2018年も続けば、過去ものとは確実に違う運用会社と考えるべきかもしれません。投資助言を行う投資信託をしっかり見ていきたいと思います。

日本株型を投資対象とする投資信託を除くと、騰落率トップ10に入ったのは中国A株を投資対象とする投資信託が2本ランクイン。15位まで広げると、インドのインフラ株を投資対象とする「HSBCインド・インフラ株式オープン」がランクインします。

仮に「ブル・ベア型ファンド」もランキングに入れると、レバレッジ3倍以上の投資信託が5本ランクインします。トップはレバレッジ4.3倍の「楽天日本株4.3倍ブル」で、騰落率は102.33%でした。

文=深野 康彦