地球最後の日までの残り時間を概念的に示す「終末時計」時刻が「終末」まで「残り2分」と、米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」がこのほど発表した。「終末時計」は同誌が核戦争などによる地球滅亡の脅威を冷戦時代初期から示してきた。今回は気候変動対策の遅れや北朝鮮による核実験に対する強い懸念から昨年よりさらに30秒進み、核実験競争が過熱していた1953年と同じ「残り2分」で過去最短になった。

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    画像 「残り2分」のイメージ画像

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    図 気温上昇のグラフ(提供・世界気象機関)

同誌によると、終末時計が過去最短になった理由として「世界の指導者は、気候変動と核戦争の脅威に効果的に対応せず、世界の安全保障の状況を1年前より危険にさらし、第二次大戦以来の危機」などとしている。この中で同誌は、北朝鮮が新たな核実験を実施したことや、温室効果ガスを削減するための国際的な対応の遅れを指摘している。

前回、昨年1月に発表された終末時計は、気候変動対策や核兵器削減に消極的なトランプ大統領誕生を懸念して針は残り2分30秒を指していた。

終末時計は、同誌が表紙に概念的に示す形で第二次世界大戦2年後の1947年から続け、不定期に発表している。初回は「残り7分」で、米国と当時のソ連が相次いで核実験を行ったり、計画していた53年に最短の「残り2分」となった。ソ連が崩壊して冷戦時代が終わった、とされた91年には「残り17分」まで戻った。

日本ではこの終末時計をヒントに旭硝子財団が「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」結果を基に危機感を示す「環境危機時計」を1992年から公表している。地球環境の深刻さを0時1分から12時までの時刻で示し、昨年9月の公表では「9時33分」。同財団は9時を過ぎると「極めて不安」な状態としている。

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