トイレが近くて気が気ではないと感じている人は多く見られますが、その原因は塩分のとりすぎのせいかもしれません。気になる方は減塩を心がけてみましょう。減塩のポイントも合わせてご紹介します 

◆頻尿はなぜ起こる?
排尿は、通常は朝起きて寝るまでの間に5~7回程度と言われています。8回以上排尿がある場合には「頻尿」、就寝後に3回以上排尿することは「夜間頻尿」といい、睡眠不足や外出を控えるなど、どちらもストレスに繋がります。

頻尿・尿漏れ・尿意切迫感はまとめて「過活動膀胱」と呼ばれ、尿が十分に溜まっていないのに、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮するという病気です。日本では800万人以上の男女が罹患しているとみられています。

頻尿の原因は、水分をとりすぎたり、ビールや緑茶、コーヒーなどの利尿作用がある飲料を飲んだりしていることです。また緊張などによって、尿の量は多くなくても尿意を感じることがあります。

また、加齢に伴い頻尿になることはよく知られています。これは尿を濃縮するホルモンの減少によって尿量が増えること、さらに膀胱の弾力性が失われて夜間などの長い時間に尿を溜めにくくなることが原因と考えられています。

女性も泌尿器のトラブルにはなりやすいものです。男性に比べて尿道が短くまっすぐなため、筋肉も弱く尿に関するトラブルが起こりやすいといわれています。妊娠中は胎児の成長により、子宮の裏側の膀胱が圧迫され、頻繁に尿意を感じます。

また、出産が原因で尿道括約筋など骨盤底筋肉群が伸びることで、腹圧がかかると尿漏れが起こることがあります。

他にも、細菌に感染した尿道炎や膀胱炎、膀胱の筋肉が過剰に活動する前立腺肥大や子宮筋腫、そして神経が排尿をコントロールしにくくなる椎間板ヘルニアや糖尿病脳卒中などといった疾患でも頻尿になりやすくなります。

◆実は、塩分のとりすぎも頻尿や夜間頻尿の要因
最近、塩分のとりすぎも、頻尿に関わるという結果が報告されました(第22回日本排尿機能学会(2015年9月長崎大学病院))。この研究の対象は、長崎大学病院とその関連施設の患者のうち研究の同意の得られた728名(排尿症状のある患者や重度合併症のある患者は除外)。

主な背景は、男性229例、平均年齢62.6歳、高血圧49.3%、糖尿病8.1%、腎機能障害37.0%など。塩分高摂取群(平均摂取量11.4g)と低摂取群(7.3g)に二分し、患者記載による排尿日誌の排尿回数・排尿量と比較検討されました。

その結果、昼間・夜間とも排尿回数・排尿量は、塩分高摂取群が多く、排尿頻度に伴ってQOL(生活の質)が低下していることが示唆されました。

塩分がなぜ頻尿につながるのでしょう。それは塩分のとりすぎが過剰な水分摂取につながり、それが頻尿を招いた可能性があるとのことです。その他に、高塩分の食事摂取そのものが交感神経バランスの乱れを介して頻尿を起こすメカニズムが推察されています。

塩分のとりすぎは、メタボリックシンドロームの高血圧の原因のひとつであり、また血管に悪影響を及ぼすことや、胃がんとの関連性なども指摘されています。

◆塩分のとりすぎを抑えるために
頻尿に限らず、塩分をとりすぎないことは推奨されています。「日本人の食事摂取基準2015年度版」では、1日の目標量は女性が7g未満、男性が8g未満とされています。

塩分は、料理のおいしさの決め手にもなるものですが、塩気の強い料理を食べると、薄味では満足できなくなります。減塩を心がけて少しずつ慣れていきましょう。

麺類の汁は控えめに
麺類の汁は塩分が高いので、汁を飲まずに残すことで、塩分を減らすことができます。麺と具を食べて、およそ半分くらいの3~4g前後になります。

塩分が気になる人は、アルコールにご注意
日本酒やビールなどのアルコールは、塩分を効かせた料理と相性が良く、飲むことでまた食欲が増して、塩分をとりすぎてしまいがちです。濃い味の料理ばかりにならないように気をつけましょう。

だしや酸味、香辛料を活用
旨味のしっかりした出汁を活用し、レモンやスダチ、ユズ等の酸味を加えて量を減らしましょう。他にも料理にニンニクやハーブなどを活用すると、塩分が少なくても、香りの効果でおいしく食べられます。

カリウムでナトリウム排出
ナトリウムは体内でカリウムとバランスをとっています。ナトリウムを摂取する時にはカリウムも摂取して、余分な塩分を排出するように心がけましょう。カリウムは、野菜・芋類、果物などに多く含まれています。頻尿に限らず健康維持のためにも、塩分をとりすぎないように、また野菜や海藻類、芋類、果物などをしっかりととるようにしましょう。

よく噛むこと
あまり噛まずに飲みこんでしまうと、どうしても濃いめの味になりがちです。薄味になれるためには、素材の風味を生かして美味しく感じられるように、よく噛む習慣をつけることも大切なポイントになります。

・長崎大学泌尿器科
・日本排尿機能学会
・日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要(厚生労働省)


文=南 恵子